夢の中だけで気持ちよく放尿していたつもりが、
目を覚ますと現実世界でもおしっこを漏らしていた…。
誰もが一度は経験するであろう「トイレの夢を見て尿を漏らす」現象は、
幼少期に多く見られる典型的な夜尿症(おねしょ)のひとつです。
ですが、おねしょとは決して子供特有のものではありません。
大人になってからもおねしょを経験する人は決して少なくないのです。
例えば「アルコールを大量に摂取して寝たあとに
おねしょをしてしまった」という体験談をよく耳にしませんか。
実は大人のおねしょは近年増加傾向にあり、
ストレス社会が生んだ現代病だとも言われているのです。
今回は、おねしょとトイレの夢の関係や、大人の
夜尿症などの治療法や予防法などをまとめました。
トイレの夢を見ておねしょをする理由
- 排泄欲よりも睡眠欲が勝る
尿意を感じているにも関わらず、睡眠欲の方が勝ってしまう。これが
おねしょの大きな原因のひとつです。
睡眠中に尿意を感じたとき、脳は「おしっこがしたい」というサインを出します。
それがトイレや放尿のイメージとなって夢にあらわれるのです。
夢のおかげで目が覚めてトイレに行ける人もいますし、
眠気に勝てずそのまま尿を漏らす人もいますが、
特に子供は大人と比べて睡眠の質が深いため、尿意を感じてもなかなか
覚醒できないのだろうという研究結果があります。
まだ睡眠の質とおねしょの関係性は解明されておらず、
詳しいことは分かっていませんが、このふたつは大きく関わっていると
推測されています。
子供の夜尿症について
幼少期の夜尿症はごく一般的な現象です。
子供はまだ膀胱の機能・容量などが発達途中であるため、
排尿リズム自体が不安定です。
成長ともにおねしょは自然消失していきますので、とくに心配は要りません。
しかし、おねしょが子供にとって多大なストレスになっている場合は
泌尿器科で治療することもできます。
薬物療法やアラーム療法など、効果の高い治療法がいくつかありますので、
お子様に合った対処法を担当医と話し合うとよいでしょう。
大人のおねしょの原因
大人が頻繁におねしょをする原因は、おもに
- ストレスなど、心因性によるのもの
- 生活習慣や睡眠障害によるもの
- 病気によるもの
の3つに分けられます。
- ストレスと自律神経、ホルモンバランスの乱れ
子供でも大人でも、ストレスが原因となって突然
夜尿症が始まるケースがあります。
睡眠中に尿意や排尿量をコントロールしてくれるのは「抗利尿ホルモン」です。
「抗利尿ホルモン」は、その名のとおり尿意を妨げることで
体液の喪失を防いでくれるホルモンであり、
「脳下垂体」という脳領域から分泌されています。
しかし、「脳下垂体」のすぐ上には「視床下部」という
怒りや不安などのストレス(情動行動)を司る脳領域があります。
この視床下部がストレスを受けることによって自律神経やホルモンバランスが乱れ、
同時に抗利尿ホルモンの分泌も抑制されます。その結果、膀胱を緩めたり締めたりする
自律神経の働きが鈍り、おねしょに繋がることがあります。
また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害によって眠りが浅くなると、
抗利尿ホルモンの分泌が減少します。
比較的眠りが浅いときにトイレの夢を見る事が多いのは、
理に適っているというわけですね。
大人の夜尿症の治療法や予防法は以下の通りです。
- 蓄尿量を増加させる抗コリン薬などを使用し、
薬物療法で排尿をコントロールしていきます。 - 膀胱内はからっぽにしておきましょう。
寝る直前は必ずトイレへ行き、尿を出し切っておきましょう。 - 寝る前にカフェイン、アルコール、水分を取りすぎないよう気をつけましょう。
塩分のとりすぎも口渇を誘発し、水分摂取量を増加させます。 - 夜だけでなく、日中に何度も漏らしてしまうときなどは、
重大な病気が隠れている場合があります。その場合は幼児期であっても
医療機関に相談することをお勧めします。 - 膀胱訓練をしましょう。要はおしっこを我慢する訓練です。
尿意を感じたときに、おしっこをギリギリまで我慢して、膀胱の蓄尿量を広げます。ただし、我慢のしすぎはくれぐれも禁物です。尿を溜めすぎれば今度は
膀胱炎や腎盂腎炎を発症してしまう恐れがあります。
大人の夜尿症は、規則正しい健康的な生活を送ることが何よりの予防となります。
ですがおねしょがあまりにも頻繁に続くようであれば、
一度泌尿器科を受診して、原因の究明、治療につとめましょう。
また、ノコギリヤシは前立腺肥大症の予防・改善効果に有効であるとされています。