排尿トラブルを発症しやすいのは高齢者だけではありません。
残尿感や頻尿に悩む10代~20代の若年層は多く、近年では泌尿器科を受診する
若者たちも増加しています。
今回は、10代の若者たちの間で広がる排尿トラブルとその原因、
治療法についてまとめました。
心因性、ストレス性の排尿トラブル
年齢性別を問わず、排尿トラブルを引き起こす原因は
「病気」と「心因性」の大きくふたつに分けられますが、
特に子供の場合はストレス性の頻尿が大きな割合を占めています。
- 心因性、ストレス性
子供は成長していく過程でさまざまなストレスに晒されます。
周囲の人のささいな一言、試験前の緊張感など、子供の体はあらゆるストレスに
敏感に反応してしまいます。
特に排尿トラブルは、下記のようなストレスによって
引き起こされているケースが多いです。
- お漏らしをしてしまったことがある、トイレを失敗してしまったことがある
- 常に強く叱られおり、急性もしくは慢性的なストレスを抱えている
- 転校や家庭環境の変化など、生活習慣の変化
- 発表会や運動会などで過度に緊張してしまう
- 学校や家庭内での人間関係のストレス
10代に限らず、お漏らしをして恥をかいた・叱られたなどの
経験をしている人は、何歳になっても心因的な頻尿になりやすい傾向があります。
また、おしっことは関係ない悩み、たとえば人間関係などのストレスなどでも
頻尿や過活動膀胱を発症します。
- 病気と心因性の見分け方について
- 夢中で遊んでいる時など、何かに集中している時は頻尿にならない
- 就寝後はトイレのために起きない、おねしょをしない
- 1回の排尿量が少ない
- 排尿痛や血尿などの症状はない
- 摂取した水分量よりも、あきらかに排尿回数の方が多い
こういった場合は、心因性の頻尿を疑ってみましょう。
- 心因性の治療法
心因性の排尿トラブルは、原因となっているストレスさえ解消されれば
自然消滅していく事も多いです。
しかし長期間のセルフケアをしても改善がみられない場合は、
医療機関を受診して治療を受けることもできます。
また、家庭内で気を付けたいポイントは、子供を厳しく叱らないこと、
プレッシャーをかけないこと、心配しすぎないこと、子供の不安を煽らないことです。
親の過剰な心配が子供にとってストレスになり、
余計に排尿トラブルを悪化させる原因になる可能性もあるため、
子供の声に耳を傾け、思春期の多感な心にそっと寄り添ってあげることが大切です。
病的な原因
膀胱炎などの尿路感染症、過活動膀胱、尿崩症、小児糖尿病、膀胱がんなど、
病気による排尿トラブルは原因が多岐に渡ります。
- 尿路感染症
尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかで細菌などによる
炎症が起き、罹患する場所によって「膀胱炎」や「尿道炎」などとも呼ばれています。
膀胱炎は女性に多い病気ですが、尿路感染症は男女ともによく見られ、
尿を我慢したり、陰部を清潔にしなかったりすることで発症します。
性交渉によって感染した性病が原因のこともあります。
おもな症状は残尿感、頻尿、血尿、排尿痛などです。抗生物質を服用すれば
完治させることが可能です。
- 過活動膀胱
膀胱に少しでも尿が溜まると、すぐトイレに行きたくなる病気です。
子供は膀胱や腎臓など、排尿に関する臓器が成長途中で未成熟なため、
膀胱に溜められる尿量が少ないのもひとつの原因です。
また、腎機能の急激な発達に膀胱の成長が追いつかず、
病気ではないけれども一時的に頻尿になる、という期間もあります。
- 自律神経の乱れ
10代の生活習慣には、自律神経やホルモンバランスの乱れを
引き起こす要因がたくさん潜んでいます。
- パソコンやスマートフォンの使用
深夜までスマートフォンやパソコンのブルーライトを浴びていると、自律神経の乱れを引き
起こす要因となります。
- 入浴するとき、湯船に浸からずシャワーのみで済ませる
ぬるめのお湯にゆっくりつかることで自律神経を整えられるのはもちろん、
血行を良くすることで冷え症の改善、免疫力アップなども期待できます。
- 運動不足
学生も社会人も、多忙ゆえに慢性的な運動不足に陥ることがよくあります。
適度に体を動かすことによって血流やリンパの流れを良くし、免疫力の低下を防ぎましょう。
- 食生活の乱れ
若者は何かと食生活が乱れがちなので、栄養バランスに気をつかった食事が大切です。
脳神経の興奮を抑えるカルシウム、血流を改善する鉄分、
免疫力をアップさせるビタミンなどを摂取し、自律神経のバランスを整えましょう。
重篤な病気によるもの
小児糖尿病、膀胱がん、脊椎障害、脳障害などによっても
残尿感を覚える場合があります。
その他さまざまな病気が10代の残尿感などの原因となっていますが、
違和感を感じたらすぐに小児科や泌尿器科を受診し、医師に相談することが大切です。