尿が白っぽく濁っている、尿道から粘ついた分泌液が出る、クリーム状の膿が尿に混じる…
これらの症状が見られる場合は、尿路や性器のどこかで異常が起こっているサインです。
今回は、尿のにごりの原因となる主な疾患とその原因、予防法、対処法などについてまとめました。
性感染症による尿の濁り
・クラミジア感染症
クラミジアという細菌による性感染症です。男性が感染すると、淡黄色や白色をしたクリーム状の膿が尿道口から排出されることがあります。
女性はおりものが多少増える程度の軽い症状であることが多いため、感染に気が付かない場合もあります。
・淋菌感染症(淋病)
淋菌による性感染症です。男性が感染すると、強い排尿痛、頻尿、残尿感などの症状とともに、
尿道からの粘り気のある黄色い膿が尿と一緒に排出されます。
女性の場合は感染の数日後に外陰部のかゆみ、おりものの増加が起こる程度なので、
感染に気付かず慢性化することがあります。
また、炎症が尿道や膀胱に広がった場合は膀胱炎や尿道炎を引き起こすこともあります。
・カンジタ感染症
カンジタ菌による性感染症です。女性が感染した場合、ヨーグルト状のおりものが尿と混じって排出されることがあります。
また、症状が進行すると、膣から大量のおりものが排出されます。
男性にはあまり濁尿は見られませんが、亀頭にかゆみ、ただれ、水泡などを生じ、白っぽいカスが出ます。
尿道炎を併発し、頻尿や残尿感なども生じる場合があります。
動物性たんぱく質やシュウ酸の摂りすぎ
ほうれん草などに含まれるシュウ酸や動物性たんぱく質を摂りすぎると、
シュウ酸カルシウムの結晶が尿中にできやすくなり、一時的に尿がにごることがあります。
生理期間中の尿のにごり
女性の場合はおりものや経血が混ざって尿が濁ることがあります。性器周辺にかゆみ・痛みなどがなく、
透明な尿に粘り気のある浮遊物が混ざっている場合は、特に心配する必要はありません。
血尿
血が混じることによって尿が濁ることもあります。
血尿のおもな原因は膀胱炎、尿路感染症、結石などです。
尿路感染症やガンなど
・急性膀胱炎
尿道口から侵入した細菌が膀胱内で炎症を起こす病気です。圧倒的に女性に多い病気であり、
頻尿、排尿痛、残尿感に加え、尿のにごりや血尿などの症状もあらわれます。
・尿道炎
尿道炎は男性に多くみられる疾患です。おもに性行為による性感染症で併発し、膿で尿が濁ります。
・前立腺炎
尿道から侵入した大腸菌やブドウ球菌が前立腺で炎症を起こす病気です。
頻尿、残尿感、排尿痛、下腹部痛、倦怠感、高熱などを引き起こし、進行すると尿に膿が混じって濁ります。
・腎臓結石・尿管結石
シュウ酸、尿酸などが腎臓や尿管の内部で結石となる病気です。
結石が混ざることで尿が濁ったり、血尿、排尿痛、残尿感、頻尿、激しい痛みなども引き起こします。
・腎盂腎炎
腎盂や腎臓が炎症を起こしている状態です。尿の濁りのほか頻尿、残尿感、血尿、発熱、頻尿、背中から腰にかけての痛み、嘔吐なども
伴います。
・腎結核
結核菌が血流に乗って腎臓に到達すると、腎結核を引き起こします。
その初期症状としてあらわれるのが尿の白い濁りで、進行すると尿に大量の膿が混じります。
・前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん
初期症状として血尿が排出されることがありますが、肉眼で確認できる血尿であることはほとんどありません。
進行すると肉眼でも分かる血尿で尿がにごり、排尿困難や尿閉(尿が出なくなること)、勃起不全などの症状もあらわれます。
尿のにごりの予防法、対処法
・まずは泌尿器科を受診し、濁尿の原因を突き止めましょう。
医師の指導のもと適切な治療を受けることが大切です。
・柑橘類や緑黄色野菜を摂取する
クエン酸やマグネシウムには、尿結石の原因となるシュウ酸やカルシウムの濃度を低下させる働きがあります。
クエン酸はみかんなどの柑橘類に、マグネシウムは緑黄色野菜や大豆、大豆製品に豊富に含まれていますので、
これらを意識的に摂取しましょう。
また、動物性たんぱく質やシュウ酸を多く含む食品を摂りすぎないようにすることも大切です。
動物性タンパク質は肉類、卵、乳製品など、シュウ酸はほうれん草、ココア、バナナなどに多く含まれています。
また、慢性的なカルシウム不足は尿路結石を引き起こす原因となります。
・プリン体を多く含む食品を控える
プリン体はビール、レバー、牛肉、イクラなどに多く含まれていますが、尿酸カルシウムによる結石の原因となります。
特にビールは尿酸の排出量を低下させるため、痛風の原因にもなります。
・性感染症を予防するためにコンドームを着用する
万全ではありませんが、コンドームは性感染症の予防法として有効です。
行為によっては防げない感染症もあるため、十分に注意しましょう。