排尿のメカニズムとは
残尿などの排尿のトラブルは、まずメカニズムを知ることが大切です。私たちの体の中には血液が流れていますが、この血液のはたらきには、大きく分けて2つあります。一つは、全身の細胞に酸素や栄養素を運ぶはたらきで、もう一つは、全身の細胞から出る不要なもの、いわゆる老廃物を腎臓に集めるはたらきです。腎臓では、1日あたり約180Lの血液をろ過しています。ここでこし出されたものを“原尿”と言い、これが尿細管という管を通る間に、ほとんどの水分といっしょに、体に必要な糖分やアミノ酸が再吸収されます。こうして最終的に膀胱にたまったものが尿で、成人の1日の尿量は、約1.5Lと言われています。
膀胱にためられた尿は、尿道を通って排泄されますが、この尿道は平滑筋という、自分の意思ではコントロールできない筋肉で作られています。そして、尿道の一部にある輪っか状の括約筋によって、排泄をコントロールしているのです。
残尿の主な症状と原因は?
加齢とともに増えてくる残尿の症状について詳しく見ていきましょう。尿の出しぶりは男性に多くみられる症状です。これは、男性は加齢とともに前立腺の肥大により、尿道が圧迫されて狭くなることから、出しぶりや、排尿時間が長くなるなどの症状が出やすいのです。また、尿が出にくくなることによって1回の排尿量が減り、残尿感が残るために何度もトイレに行きがちになります。これがいわゆる“頻尿”の症状で、一日を通じて排泄する尿量が増える“多尿”とは区別されています。
また、排尿トラブルには加齢に伴うもののほか、炎症や結石、がんなどの疾患によるものもありますが、原因を知るためには病院での検査が必要です。
排尿トラブルへの対策は?
排尿のトラブルは、外出を控えさせてしまうなど、生活が消極的になり、QOLを大きく低下させる原因となりますから、医薬品での的確な治療をおすすめします。排尿トラブルを改善する一般用医薬品には、まず、漢方処方を主体としたものがあります。
排尿痛を伴わない排尿困難、残尿感や頻尿には、「六味丸(ろくみがん)」、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」、「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」などが主に用いられますが、排尿痛がある場合には、「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」や「五淋散(ごりんさん)」、「猪苓湯(ちょれいとう)」などが用いられます。これらの漢方処方は、適合する症状のほか、体力のあるなしなど体質などを考慮して使い分ける必要がありますので注意しましょう。
漢方処方以外の一般用医薬品としては、「フラボキサート塩酸塩」を配合したものがあります。この成分は、頻尿や残尿感などを改善しますが、一般用医薬品では、女性しか服用できませんので、注意が必要です。男性の頻尿や残尿感は、前立腺肥大が原因であることが多く、「フラボキサート塩酸塩」は、その症状を悪化させ、かえって排尿困難を引き起こすおそれがあるのです。
また、排尿のトラブルに用いられる健康食品としては、前立腺肥大による尿の出しぶりと頻尿に対して、西洋ハーブの一種である「ノコギリヤシ」がよく知られています。
前立腺の肥大は、男性ホルモンが変化したジヒドロテストステロンによって引き起こされますが、ノコギリヤシの果実に含まれる油性成分は、この変換酵素のはたらきを抑えることによって、前立腺の肥大を抑えると言われています。
また、ノコギリヤシと同様に、その成分が性ホルモンに関与し、前立腺肥大などの改善にはたらくと考えられているものに、「パンプキン種子」などがあります。
自分に合った医薬品や健康食品で残尿などの排尿トラブルを適切に治療していくことをおすすめします。
インターネットだけ入手することができる医薬品・漢方薬
残尿トラブルで効果があるとされている医薬品・漢方薬は、インターネットで入手することが可能となっています。(一部、市販されていないものもあります。)
以下にご紹介します。
<注意> 効果、効能、副作用はインターネットだけの知識だけではなく、医師にご相談いただくことをお薦めします。
六味丸(ろくみがん)
八味地黄丸(はちみじおうがん)
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牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
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清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
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竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
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五淋散(ごりんさん)
猪苓湯(ちょれいとう)
フラボキサート塩酸塩
市販されておりません。医師にご相談下さい。