急性膀胱炎を治療するためには、医師に処方された抗生物質を
しっかりと服用しながら、同時に生活習慣を改善していくことが大切です。
しかし、あまりの忙しさで病院に行けない、
どうしても恥ずかしくて病院を受診できないなど、
様々な理由で通院の機会を逃してしまう方もいるでしょう。
そんな時に強い味方となってくれるのが市販薬です。
あくまで初期症状、かつ軽い病状の時のみに使用されるべきものですが、
排尿痛や残尿感の改善に十分な効果を発揮することもあります。
今回は、膀胱炎などの尿路感染症などに効果がある
市販薬の紹介、その機能から副作用までを解説します。
市販薬の基本的な効能について
膀胱炎の治療薬として処方される抗生物質は、
病気の原因となっている細菌を死滅させる・繁殖を抑制するなどの効果があり、
抗菌薬とも呼ばれています。
しかし、抗生物質の販売は薬事法により禁止されています。
抗生物質を購入するためには、必ず医師の処方箋が必要ですので、
手軽に購入できる市販薬に抗生物質が含まれているものは
ひとつもありません。
膀胱炎に効くとされている市販薬は、細菌を死滅させるものではなく、
排尿を促すことで膀胱内の細菌を体外に流し出すという機能がメインです。
主な市販薬
・腎仙散(摩耶堂製薬株式会社)
腎仙散には約15種類の漢方エキスが配合されています。
その中でも「五淋散(ごりんさん)」と呼ばれている
ケイ、タクシャ、ブクリョウ、チョレイ、ソウジュツの5つは利尿効果の高い生薬です。
また、抗菌作用を持つウワウルシという生薬も配合されており、
膀胱炎の改善を期待できます。
腎仙散を服用するときは、できるだけたくさんの水と一緒に飲みましょう。
膀胱炎の他にも、むくみ、腎炎、ネフローゼ、腎盂炎などにも効果を発揮します。
ちなみに「五淋散」とは、「石淋(せきりん)」「気淋(きりん)」「膏淋(こうりん)」
「労淋(ろうりん)」「血淋(けつりん)」という、
東洋医学における5つの尿路にまつわる病気を表現する言葉です。
・ボーコレン(小林製薬)
同じく五淋散の抗菌作用、抗炎症作用、傷の修復、血流の改善、利尿作用を利用して、
残尿感、頻尿、排尿痛などを改善します。
・ハルンケア(大鵬薬品)
「八味地黄丸」を主成分とした生薬です。八味地黄丸(はちみじおうがん)には
腎臓の機能を改善する効果があります。
下半身の疲労脱力、多尿、頻尿、口の渇きなどに効くとされ、
膀胱炎や尿感染症、前立腺肥大、腎炎、高血圧症、糖尿病、陰萎などの治療にも
用いられています。
・ジェントスルーコーワ(興和新薬)
主成分は八味地黄丸ですが、胃腸障害や排尿トラブルに効くとされる
麦門冬と五味子も配合されている、男性向けのお薬です。
慢性疲労、口渇、排尿困難、夜間頻尿などにも効果があります。
・漢方八味地黄丸(クラシエ薬品)
同じく八味地黄丸が主成分です。
頻尿、排尿困難、疲れ、かすみ目、などに効果があります。
・ユリナール(小林製薬)
同じく八味地黄丸由来の生薬です。膀胱の筋肉を弛緩させる生薬が配合されており、
膀胱を広げることで夜間頻尿や改善します。
また、利尿作用・抗炎症作用がある生薬も配合され、
膀胱炎などを改善します。
・ジンフリック(摩耶堂製薬)
頻尿や残尿に悩む女性のためにをコンセプトとしたお薬です。
主成分は「フラボキサート塩酸塩」という医療用成分。
膀胱の筋肉をゆるめることで尿の貯蔵量を増やし、排尿回数を減少させます。
ストレスなどによる神経性頻尿のほか、
慢性膀胱炎の頻尿・残尿感などにも効果を発揮します。
・レディガードコーワ(興和新薬)
同じくフラボキサート塩酸塩を配合した、女性専用のお薬です。
残尿感や頻尿などの症状を改善します。
副作用と注意事項
市販薬を購入する際は、必ずパッケージ裏の注意事項を確認しましょう。
・女性用と書いてあるお薬を、男性が使用してはいけません。
前立腺肥大を促進し、閉尿(尿が出なくなる)などの副作用を
引き起こす可能性があります。
・アレルギーやアナフィラキシー症状を起こす可能性があります。
・15歳未満の子供、妊婦、妊娠している可能性のある女性、腸障害や脳・脊髄の疾患を持つ方は
服用してはいけません。どのお薬も、胎児の安全性は十分に確認されていません。
・その他パーキンソン病やガン、胃腸の鎮痛薬、ロートエキスを含有の胃腸薬、
乗物酔いの薬、鼻炎用の内服薬、かぜ薬を飲んでいる人も併用は避けましょう。
・漢方薬は体質によって重大な副作用を起こすものもあります。
・あくまで頓服として使用し、長期にわたっての服用は厳禁です。
・薬だけに頼らず、膀胱訓練や生活習慣の改善も平行して
行うことが重要です。
どのお薬も水分を多めに摂取しながら、用法・用量を守って正しく服用しましょう。
1~2週間ほど飲み続けても効果が得られないようであれば、
一旦服用を止め、必ず病院を受診するようにしましょう。