便秘と排尿トラブルの間には密接な関係性があります。
腸と膀胱は同じ腹膜のなかに存在しているため、どちらかの不調は
もう一方に悪影響を与えやすいのです。

今回は、便秘によって引き起こされる頻尿や残尿感の
原因、そして便秘の解消法などについて解説します。

便秘とは

便秘の定義は国や学会によって様々ですが、一般的には
「排泄物が腸内に溜まっているにも関わらず、何らかの原因によって
正常な排泄が行われれていない」状態を指します。

要するに、「数日間ほど排便がない、もしくは排便の回数や量が少ない、
排便しても何だかすっきりとしない、便が固すぎて排便が困難である」など、
個人の感覚差・体質差によって便秘の定義は大きく変わるということです。

便秘が続くと、肌荒れ、腹痛、倦怠感、食欲低下、肩こりや腰痛、
自律神経の乱れなど、全身に様々な悪影響を及ぼします。

また、慢性的な便秘は大腸がんの原因のひとつだとも言われています。
便秘によって増殖した悪玉菌が発がん物質を作り出すと考えられているためです。

便秘が残尿感などを引き起こすメカニズム

腸や子宮や膀胱など、下腹部の内臓たちが定位置を保ちながら
しっかりと働き続けられるのは「腹圧」のおかげです。

「腹圧」とは、「腹膜」と呼ばれる半透明の袋を膨らませる力のことを指し、
「腹膜」は自身が内包する腸や膀胱などが潰れないよう、常に適切な圧力で袋を膨らませています。

しかし、便秘になると滞留している大便からガスが発生して腸が膨張します。
膨らんだ腸は腹圧を上昇させ、膀胱を圧迫して変形させてしまいます。

膀胱が小さくいびつな形に変形してしまうと、尿を少量しか溜められなくなってしまうため、
頻尿、残尿感、尿意切迫感などを引き起こすのです。

また、便秘であるという状態は、善玉菌よりも悪玉菌が腸内で
優勢になっているということでもあります。

膀胱炎などの尿路感染症は、大便に含まれる大腸菌が原因となっています。
悪玉菌が多く繁殖していると、排便の際に肛門付近に大腸菌が付着しやすくなり、
膀胱炎などの尿路感染症を引き起こすリスクが高くなります。

便秘による膀胱炎になりやすいのは女性

女性の尿道は男性のそれと比べて短く、尿道口が肛門と陰部のすぐ近くに存在しているため、
細菌が体内に侵入しやすい構造になっています。

また、女性は男性に比べて大腸付近の筋力が弱いために
便を排出する力も弱く、便秘になりやすいとも言われています。

便秘の解消法

便秘はあらゆる病のもとと言っても過言ではありません。

便秘を解消することは排尿トラブルの予防になるだけでなく、
生活習慣病などの予防にもつながります。

まずは病院で診察を受け、重大な病気が隠れていないか
どうかを確かめましょう。排尿トラブルの原因は便秘だけではありません。
その他の基礎疾患が頻尿や残尿を引き起こしている可能性もあります。

規則正しい生活を心がける

便秘を解消するためには、規則正しい生活を送ることがもっとも重要です。

こまめに水分摂取をし、水溶性・不溶性の食物繊維の摂取、
運動、腹部マッサージ、ストレス解消などに励むことで便秘を緩和することができます。

また、アルコールの飲み過ぎは便秘を悪化させることがあります。
アルコールには利尿作用があるため、飲み過ぎると頻尿の原因となるだけでなく、
体に必要な水分までもが失われ、脱水症状を引き起こすことがあります。

体内の水分が不足すると、体は大腸壁からの水分吸収量を増加させます。
その結果、便を柔らかくするために使用されるはずだった
水分まで体内に吸収されて便が硬くなり、便秘の原因となります。
カフェインが多く含まれている飲料にも同様の注意が必要です。

また、冷え性の方は便秘になりやすいため、
しっかりと体を温めることで腸の働きを活発にしましょう。

頻尿は便秘を引き起こす原因に

頻尿によって便秘が引き起こされる場合もあります。

頻繁な排尿により体内の水分が失われると、大便に使われるはずだった
水分まで失われ、硬い便となって便秘を引き起こすこともあります。

このように、便秘と排尿トラブルは密接に連動しています。
健康的な生活を心がけ、排便・排尿トラブルを併発させないように気を付けましょう。