頻尿や残尿感などの排尿トラブルは、おもに中高年~高齢者特有の
悩みであると思われがちです。
しかし近年では、10代~20代といった若い世代での
発症も珍しくありません。

今回は、若い世代が発症しやすい排尿トラブルの
おもな原因と予防法を、男女別にまとめました。

若い世代の頻尿や残尿感の主な原因(男女共通)

  1. 過活動膀胱:我慢できないほど急激な強い尿意をもよおし、何度もトイレに行くなど日常生活に支障が出る
  2. 肥満:腹部に付きすぎた脂肪によって膀胱が圧迫されている
  3. 同じ姿勢を長時間続けることにより膀胱が圧迫され、頻尿になってしまう
  4. 淋病やクラミジアなど、性感染症によるもの
  5. 水分の摂り過ぎ。利尿作用の含まれるカフェイン飲料の取りすぎ
  6. アルコールの飲みすぎ(カフェインと同様に利尿作用がある)
  7. 心因性の頻尿。トイレに行くことができないという状況になると、緊張感から尿意をもよおす

上記の原因はすべて慢性ではなく急性(一過性)なので、
適切な処置や治療、生活習慣の改善を行えば、症状は引いていきます。
もし治療を受けても改善が見られないときは、恐ろしい病気が潜んでいる可能性がありますので、
精密検査を受け、原因をしっかりと突き止めましょう。

男性の場合

若い男性の場合、上記の原因以外にも「前立腺」のトラブルにより
頻尿・残尿を引き起こしている可能性があります。

  • 前立腺肥大症

前立腺肥大の患者さんは圧倒的に中高年以降の男性が多いのですが、
近年では若い男性にも急増しています。

原因はまだ解明されていませが、男性ホルモンの変化によって肥大化した
前立腺に尿道が圧迫・閉塞されるという事だけははっきりしています。

主な症状は以下のとおりです。

  • 頻尿、夜間頻尿
  • 排尿痛
  • 尿が途切れる、勢いがない
  • 残尿感がある
  • 前立腺炎

20代前後の男性にとって最も身近な排尿トラブル、それが前立腺炎です。

前立腺が細菌感染によって大きく腫れ上がり、残尿感、頻尿、排尿痛、尿閉などを引き起こします。
時には38〜40℃の高熱を伴うことがあります。

原因は性交渉による細菌感染、ストレスによる免疫力低下などが挙げられますが、
最近ではパソコンやスマホの操作を深夜まで続けたことによる
自律神経の乱れ、あるいは男性ホルモンの乱れなども原因として指摘されています。

また、デスクワークなどでずっと同じ姿勢を続けていると
前立腺を圧迫してしまい、それが発症の原因となることもあります。

女性の場合

若い女性の排尿トラブルには様々な原因があります。

  • 冷え性

冬の寒さはもちろん、夏でも過剰な冷房によって自律神経が乱れ、
頻尿や残尿感を引き起こすことがあります。
冷え性対策は一年中しっかり行うことが大切です。

  • 膀胱炎

女性は男性よりも膀胱炎になりやすく、20代以上の女性なら誰もが一度は
経験していると言われているほどメジャーな病気です。

女性は男性と比べて尿道が短いため、肛門や膣で繁殖した細菌が
尿道口から膀胱へと侵入しやすく、残尿感、頻尿、排尿痛、血尿などを引き起こします。

  • 骨盤底筋のゆるみ

重いものを持ち上げたときや、咳やくしゃみをした拍子に尿が漏れてしまうなど、
腹圧がかかった瞬間に尿漏れを起こす場合は、骨盤底筋がゆるんでいる可能性があります。
骨盤底筋を鍛える方法は後述します。

治療と予防法

  • 治療法

まずは泌尿器科を受診し、適切な治療を受けましょう。
膀胱炎などは再発を繰り返す人が多いので、尿道口周辺を清潔に保ち、
細菌の侵入・繁殖を防ぐことが大切です。

また、尿意を感じたら我慢はせず、すぐにトイレに行きましょう。
免疫力が下がるような乱れた生活習慣を改め、自律神経の働きを整えましょう。

治療を受けたにも関わらず長期間症状が続くようであれば、
重大な病気が潜んでいる可能性もありますので、病院での精密検査をお勧めします。

  • 膀胱訓練

心因性頻尿の場合は、「膀胱訓練」によって徐々に排尿回数を
減らしていくことができます。

膀胱訓練とは「尿意を感じても、すぐにトイレに行かずに我慢する」という
トレーニング方法です。最初は5分ほど我慢してから排尿し、慣れるにしたがって
10分、15分と少しずつ我慢する時間を延ばしていきましょう。

しかし無茶は禁物です。我慢しすぎると膀胱炎などのリスクが高まることもあります。
しっかりと水分を補給し、適切な排尿を心掛けましょう。

  • 骨盤底筋体操

骨盤底筋体操とは、肛門や膣を締める筋肉を鍛えることによって
尿漏れなどを改善する体操です。

肛門に力を入れ、キュッと締めるようなイメージを5秒間キープし、
その後ゆっくりと力を抜いていきましょう。この時お腹に力を入れてはいけません。
10回で1セットとし、1日5セットを目標に続けましょう。