大人になってから突然おねしょ(夜尿症)を再発してしまう方は珍しくありません。
とくに出産後の女性は、ホルモンバランスの乱れ・育児による生活リズムの乱れが過度のストレスとなって、おねしょをする方が多くみられます。

今回は、大人の女性がおねしょをする場合に考えられる原因と対策をご紹介したいと思います。

1.出産後の夜尿症

妊娠中や出産後には、多くの女性がおねしょや尿漏れを経験をします。
産後の夜尿症の原因は

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 育児ストレス
  • 出産による骨盤底筋の損傷やゆるみ
  • 睡眠不足

などの、複雑な要因が絡み合っていると推測されています。

出産後しばらくは、夜間の授乳や育児によってまとまった睡眠をとることができず、
生活リズムが大きく乱れることによって自律神経のバランスも崩れてしまいます。

また、出産時に「骨盤底筋」がゆるむため、尿道をしっかりと締めておくことができなくなり、おねしょや尿漏れを起こしやすくなります。

女性の夜尿症は婦人科や泌尿器科で治療を受けられますので、気軽に病院を受診しましょう。また、骨盤底筋体操なども効果があります(後述にて詳しくご紹介します)

2.冷え性によるもの

冷えは夜尿症を悪化させる原因のひとつです。
特に女性は月経、薄着のおしゃれ、ダイエット、筋肉量の少なさなどから、冷え性になりやすい性質があります。

冷えや寒さによって体が緊張すると、就寝時の尿量をコントロールする抗利尿ホルモンの分泌量が減少し、尿を溜めることができなくなります。その結果、就寝中に自然と排泄してしまうのです。

冷え性によるおねしょを改善するには、

  • お風呂に入って体を芯から充分に温める
  • 下着やパジャマや寝具などを、あったかい素材にする
  • クーラーで部屋の室温を下げすぎない
  • 冷えを感じなくても、体内(内臓)が冷えている場合もある
  • 電気毛布、湯たんぽなどの暖房器具を利用して、就寝前に布団を温めておく
  • 湯冷めしないうちに布団に入る
  • 五本指ソックスや腹巻など、下半身を温める工夫をする

などの対策が必要です。

ただし、体を温めすぎてもいけません。逆に汗をかいて体が冷えてしまわないよう、充分に気を付けて下さい。

3.自律神経のバランスの乱れ

疲労やストレス、強い不安感や緊張感、睡眠不足などによって自律神経のバランスが乱れ、抗利尿ホルモンの分泌が低下している場合もあります。

4.病気によるもの

膀胱炎は女性に多い病気です。外出先でトイレを長時間我慢したり、更年期や妊娠・無理なダイエットによる免疫力の低下などで膀胱が細菌に感染しやすいためです。
また、女性は尿道が短く、尿道口も膣や肛門に近いため、細菌が膀胱に侵入しやすいという性質もあります。

あらゆる膀胱の疾患は、夜尿症や尿漏れの原因となる場合があります。
尿道や性器の周りはいつも清潔にしておきましょう。

膀胱炎だけでなく、糖尿病や脳腫瘍など重篤な病気が原因でおねしょをしている場合もありますので、症状が長引くようなら必ず病院で検査を受けてください。

5.加齢、疲労による筋力の低下

加齢、肥満、疲労による筋力の低下も夜尿症の原因となります。骨盤底筋が衰えることでしっかりと膀胱を支えられなくなり、さまざまな排尿障害が起こりやすくなるのです。
このような場合は、骨盤底筋を鍛えるトレーニングで夜尿症を改善することができます。

  • 骨盤底筋体操のやり方
  • 肛門と膣をゆっくりと絞め、ゆっくりと緩めます。これを2〜3回繰り返します。
  • 最後に肛門と膣を絞めながら、骨盤底筋全体を体の中に引き込むようにゆっくりと持ち上げます。そしてゆっくりと緩めていきます。これも2〜3回繰り返します。
  • どのような姿勢でも大丈夫ですので、1日に3〜5回、2時間おきぐらいに行いましょう。長期間続けることが大切です。

6.アルコール、カフェイン、水分の過剰摂取

水分の摂取量が多いと尿量も多くなり、夜尿をしてしまう可能性があります。

とくにアルコールやカフェインには利尿作用があるため、就寝前の2~3時間前は控えるようにしましょう。お酒の飲み過ぎで泥酔状態になると、無意識のうちに排尿してしまう可能性が高くなります。そして就寝前には必ずトイレを済ませておきましょう。

夜尿症は薬物治療や行動療法、生活習慣の見直しなどで改善することができますので、気に病む必要はありません。

逆に夜尿によるストレスを抱え込むことで症状を悪化させるケースもあります。女性の場合は男性以上に羞恥心が強く、病院での検査をためらいがちです。
深刻な場合は一人で悩まず、泌尿器科などで検査を受けてみてください。