大人のおねしょ(夜尿症)は決して珍しい事ではありません。成人した大人であっても、何らかの原因によっておねしょを再発することはよくあります。

特に大人の夜尿症は女性よりも男性に多く見られる傾向があります。一時的なものであれば特に心配はいりませんが、長期にわたって何度も繰り返すようであれば、病院での検査を受けましょう。

今回は、成人男性の夜尿症の原因や対策、改善法についてご紹介します。

【成人男性の夜尿症の原因】

  • アルコールや水分の過剰摂取

お酒を飲みすぎて泥酔し、無意識のうちに排尿してしまったことはありませんか。
アルコールに利尿作用があることは有名ですが、これは夜間の尿量を調節する抗利尿ホルモンの活動が抑制されてしまうためです。

特にビールには注意しましょう。ビールにはカリウムが含まれているため、新陳代謝を活発にし、より強い利尿作用をもたらします。

  • 男性特有の病気

夜間のおねしょだけではなく、日中にも尿漏れや残尿感などの症状が見られる場合は、体のどこかに何らかの疾患を抱えている場合があります。
とくに男性の場合は、前立腺の疾患に対しても注意が必要です。

  • 前立腺肥大症

前立腺肥大症は加齢とともに進行し、50代の3人に1人、70代以上では10人に7人もの男性に症状があらわれます。

前立腺肥大症は、尿道の周囲にある前立腺が肥大して、膀胱や尿道を圧迫する病気です。
膀胱が刺激されるため、夜尿症の原因となるだけではなく、日中にも残尿感や尿閉(尿が出なくなること)などの症状が見られます。

  • 前立腺炎

どの年代の男性にもみられる病気です。肛門~睾丸の間の痛みや不快感、夜間の頻尿、おねしょ、失禁、尿漏れ、残尿感などがおもな症状です。
細菌による感染症が発端となるほか、ストレス、不眠、飲酒、長距離ドライバー、デスクワークなど、長時間イスに座ることでも発病しますが、原因ははっきりしないことが多いです。

  • 前立腺がん

前立腺の細胞が異常な自己増殖をくりかえす悪性腫瘍です。早期に発見すれば手術や放射線治療で完治させることも可能です。

しかし、前立腺がんが進行すると、夜間の頻尿、夜尿症、尿漏れ、残尿感などの排尿障害に加え、転移による腰痛などもみられる場合があります。
少なくとも年に一度はガン検診を受けることをおすすめします。

また、男性特有の病気ではありませんが、糖尿病、脳腫瘍、神経の異常など、重篤な病気によって夜尿症が引き起こされる場合もあります。少しでも違和感を感じたら、積極的に病院を受診しましょう。

  • 自律神経の乱れ、ストレスなどの心因性によるもの

ストレスや過労によって自律神経が乱れると、抗利尿ホルモンが十分に分泌されなくなる恐れがあります。また、おねしょ自体がストレスとなってさらに症状を悪化させる場合もあります。

  • 筋力の低下

加齢によって尿道括約筋などが衰えてしまうと、夜尿や尿漏れなどを引き起こす場合があります。この場合は、骨盤底筋体操などを行うことで症状を改善することができます。

  • 遺伝性のもの

夜尿症には先天性の遺伝が関係している場合もあります。
詳しい原因は分かっていませんが、子供の頃のおねしょがずっと続く「一時性夜尿症」や、何かのきっかけでおねしょを再発する「二次性夜尿症」もあります。

【男性の夜尿症・その対策と予防法】

大人の夜尿症の治療には薬物療法・行動療法などが有効ですが、生活習慣を見直すだけでおねしょを改善できるケースもあります。

  • 起床時間と就寝時間を一定にし、夜ふかしをしない
  • お風呂で排尿しない(お風呂のあたたかさと布団の温もりが似ているため、おねしょを誘発してしまうことがあります)
  • お酒を飲まない、就寝前は水分を過剰摂取しない
  • ストレスを溜めない

など、規則正しい生活を心掛けましょう。

また、下着に尿を感知するセンサーを取り付けて眠る「アラーム療法」などもあります。アラーム療法によって、おねしょをする前に目を覚ますことができるようになったり、尿意をコントロールできるようになるため、大人の夜尿症対策として有効です。

まずは病院で検査を受け、おねしょの原因を確認しておくことが大切です。基礎疾患が見つからなかった場合は生活リズムを整えて、ゆっくりと夜尿症を改善していきましょう。