「夜間頻尿」とは、「就寝後、排尿のために1回以上目を覚まし、
それが日常生活に支障をきたしている状態」を指す言葉です。

夜間頻尿に悩む人は年齢とともに増加していき、性差はほとんどありません。
40歳以上の日本人男女ならば、約69.2%もの方が
頻尿による慢性的な睡眠不足を抱えていると言われています。

健全な日常生活を営む上で、十分な睡眠時間をとることは非常に大切です。
睡眠不足による疲労で体調不良を引き起こしたり、
高齢者が暗闇の中トイレに向かうことで転倒し、怪我や骨折をするケースもあります。

今回は、夜間頻尿の原因や治療法、自分できるセルフケアについてまとめました。

夜間頻尿の原因

夜間頻尿のおもな原因は、

  • 夜間多尿
  • 膀胱機能の低下
  • 睡眠障害

の3種類に分けられます。

  • 夜間多尿

加齢などによって心臓のポンプ機能が低下すると、血流の勢いが衰えて下半身に血が溜まります。
しかし睡眠中は体を横たえるため、立っている間は戻ってこられなかった血液が徐々に心臓に帰ってくるのです。

一度に沢山の血液が戻ってくると、弱った心臓や腎臓では血液を処理しきれず、
余計な水分として尿で排出するようになります。これが夜間多尿の大きな原因です。

また、加齢によって抗利尿ホルモンが十分に分泌されなくなると、
夜間の尿意や尿量をうまく調節できなくなり、夜間多尿を引き起こします。

睡眠前の過剰な水分摂取も原因のひとつです。
水分は飲料だけではなく、食物にも多く含まれているため、
自分が想像している以上に過剰な水分が体に蓄積されていた、というケースもあります。

また、高血圧や心臓病などの薬の副作用として、夜間多尿があらわれる場合もあります。

  • 膀胱機能の低下

膀胱機能が低下すると、膀胱内に溜められる尿量が減少します。
膀胱炎、前立腺肥大症、神経因性膀胱、過活動膀胱、間質性膀胱炎などが原因となることもありますが、
加齢によっても膀胱の伸縮が悪くなり、1回に溜められる量が減少していきます。

  • 睡眠障害

睡眠障害も夜間排尿の大きな原因のひとつです。
特に高齢者の眠りは浅いため、尿意を感じていなくても
ちょっとした事で目を覚まし、そのたびにトイレに向かうというケースが多く見られます。

また、うつ病、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、
むずむず足症候群等なども睡眠障害の大きな原因となっています。

夜間頻尿の治療について

まずは泌尿器科を受診しましょう。夜間頻尿を引き起こしている
原因を突き止めて、ひとりひとりに合った治療やセルフケアを行うことが大切です。

  • 抗利尿ホルモンの分泌低下が認められた場合は、寝る前にホルモン剤の
    点鼻スプレーをすることで症状を改善します。
  • 過剰な水分摂取が原因であれば、水分摂取量に関する指導を行います。
  • 膀胱機能の低下が原因の場合は、その原因となっている病気をつきとめ、
    必要な抗生物質の投与などの薬物治療を行います。
  • 睡眠障害が原因の場合は、不眠を引き起こしている原因をまず治療し、生活習慣の改善を指導します。
    場合によっては睡眠薬なども使用し、睡眠の質を上げることで夜間排尿を改善していきます。
    規則正しい生活を送ることで排尿リズムを整えることも重要です。
  • 夕方以降はコーヒー、緑茶、アルコールの摂取を控えましょう。
  • 心臓の機能低下(心不全)が進行している場合は、心房性ナトリウム利尿ペプチドなどを
    用いて心不全の治療を行います。この場合は泌尿器科ではなく、内科などでの治療になります。

夜間頻尿は、夜間多尿、夜間膀胱容量の低下、睡眠障害という三大要因だけでなく、
これらに心疾患、内臓疾患、下部尿路疾患などの
さまざまな病気が絡みあうことで発生しています。
つまり夜間頻尿の原因は個人によって大きく違うため、安易な自己判断をしては危険だという事です。
医師の指導のもと、自分に合った適切な治療に取り組みましょう。