膀胱炎は成人以上の女性に多くみられる感染症だと言われていますが、
赤ちゃんや幼児の場合は性別に関係なく、男女どちらでも発症します。

特に赤ちゃんの場合は、膀胱炎になっても
大人と同じような症状が出ないため、発覚が遅れる場合もあります。
子供の排尿トラブルを早期発見するためには、
彼らのちょっとした変化を注意深く観察しなければなりません。

今回は、乳幼児期から幼児期にかけての膀胱炎について、
その症状や治療法、予防法などをまとめました。

赤ちゃんの膀胱炎

乳幼児が膀胱炎を発症しても、
大人のようにはっきりとした症状が見られる訳ではありません。

しかし、下記のような体調不良が見られる場合は、
膀胱炎の疑いも考慮に入れるべきでしょう。

  • 発熱(38.5℃以上)
  • 機嫌が悪い
  • 下痢
  • ミルクの飲みが悪い
  • お腹が膨れている
  • 排尿時の痛みで泣く

乳幼児は自分の言葉で症状を訴えることができませんので、
ちょっとした変化を見逃さないようにすることが大切です。

幼児の膀胱炎

幼児の排尿器官はまだまだ成長途中のため、
男女ともに尿道が短く、尿道口から細菌が侵入しやすい構造となっています。

2歳頃までは性別に関係なく膀胱炎を発症しますが、
3歳以降は成人と同じように、男児よりも女児の方が膀胱炎にかかりやすくなります。

幼児の膀胱炎のおもな症状は

  • おなか、背中の痛みを訴える
  • 排尿時の痛みを訴える
  • 排尿したあとでお漏らしをする
  • 頻尿
  • 血尿、濁った尿
  • 普段はお漏らしをしないのにパンツを濡らす
  • 尿がいつもより臭い
  • 尿が出しにくい

などですが、赤ちゃん同様うまく症状を訴えることができないため、
ため、子供の些細な変化を見逃さないようにしましょう。

子供に多い出血性膀胱炎

出血性膀胱炎は、膀胱粘膜の一部からだけではなく、
全体から出血している膀胱炎です。

症状は血尿、頻尿、排尿痛、残尿感など、普通の膀胱炎と変わりませんが、
真っ赤な尿や尿の中に血の塊が見られる場合もあります。

子供の出血性膀胱炎の原因は、大半がアデノウイルスだと言われています。
アデノウイルスに効く治療薬は今のところ存在しないため、
自然治癒を待つしかありません。

しかし、尿の中に血の塊が出るほど重症化すると、
膀胱が委縮したり、尿道が閉鎖されて尿が出なくなることもありますので、
症状が軽いうちに小児科を受診しましょう。
治療中は、十分に水分を摂取し、安静にしてすごしましょう。

また抗がん剤、免疫抑制薬、抗アレルギー薬、抗生物質、漢方薬などの
医薬品が原因となる出血性膀胱炎もあります。

子供の膀胱炎の原因

子供の膀胱炎の多くは、細菌が膀胱で炎症を起こす急性膀胱炎です。
原因菌となるのは大腸菌、ブドウ球菌、セラチア菌などがですが、
その中でも大腸菌が8割以上を占めています。

細菌が膀胱に侵入しても、健康的な状態なら排尿時に洗い流されて
炎症を起こすことはありません。

しかし、おしっこを長時間我慢したり、免疫力、抵抗力が落ちている時などは、
膀胱内で細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎にかかりやすくなります。

腎盂腎炎や水腎症、膀胱尿管逆流症

子供の排尿トラブルには、先天性の膀胱尿管逆流症や水腎症が潜んでいる
場合もあります。これらを放置しておくと腎臓障害などを起こしますので、
早期発見、早期治療につとめましょう。

腎盂腎炎とは

尿路のどこかで繁殖した細菌が腎臓の入り口付近(腎盂)~腎臓全体で
炎症を起こすことです。

高熱、腹痛、悪心、嘔吐、倦怠感、黄疸、哺乳不良、体重減少などが
みられたら、早急に医療機関を受診しましょう。

膀胱尿管逆流症

尿が膀胱から腎臓へと逆流し、腎臓に大きなダメージを与えます。
膀胱尿管逆流症の多くは成長とともに自然治癒していきますが、手術しなければ
治癒が見込めない場合もあります。

水腎症

子供の水腎症は多くは先天性です。
おもな症状は腹痛や高熱ですが、まれに腎不全にまで発展することもあります。
軽度の水腎症は子供の成長とともに自然治癒しますが、重度の場合は手術を行う場合もあります。

幼児の膀胱炎の治療法、予防法

まずは小児科を受診しましょう。軽度の膀胱炎であれば、抗生物質を
しっかり服用することで完治させることができます。

日常生活でできる膀胱炎の予防法は以下のとおりです。

  • トイレを我慢しない(1日6回以上は行かせるようにする)
  • 十分な水分摂取を心掛ける(3~5歳は1日500~800ml、6~12歳は1日800~1000mlが目安です)
  • 局部を清潔に保つ
  • 過度の疲労やストレスで免疫力を下げない
  • カフェイン入りの緑茶、紅茶、コーヒー、コーラなどを与えすぎない
  • 便秘になると原因菌となる大腸菌が増加するため、食物繊維をしっかりと摂取させる
  • 外で遊ばせることで適度な体力をつける