行動療法や投薬療法をはじめ、大人のおねしょ(夜尿症)には様々な治療法があります。しかし、おねしょの原因となっている基礎疾患が見つからない場合は、生活習慣を見直すだけで症状が改善する場合もあります。

今回は、自宅でできる夜尿症の改善法、予防法やセルフケアをご紹介します。

ただし、怪我や病気によって夜尿症が引き起こされている場合は、まずは原因となっている疾患を治療することが最優先だということを忘れないでください。

1.就寝前は水分の摂取を控える

オーソドックスな対処法ですが、就寝する2~3時間前は水分摂取を控えましょう。
飲料だけではなく、食べ物に含まれている水分にも気を付ける必要があります。

特にコーヒー、お茶、紅茶など、利尿作用のあるカフェイン入りの飲料は避けましょう。
アルコールにも利尿作用がありますので、お酒も控えることも重要です。

また、昼間の水分摂取量が多すぎると、夜間の排尿過多をまねく恐れもあります。1日の水分摂取量を記録してみることも有効です。

2.骨盤底筋体操をする

加齢によって骨盤底筋や尿路括約筋が衰えると、尿道をしっかりと締められなくなり、夜尿症や尿漏れの原因となってしまいます。女性の場合は出産によっても骨盤底筋が傷つき、様々な排尿トラブルを引き起こす場合もあります。

このような場合は、骨盤底筋を鍛えることで症状を改善しましょう。
具体的な方法は下記の通りです。

  • まず準備運動として、尿道、肛門、腟の出口をきゅっと締めたり、緩めたりを2~3回繰り返します。場所や時間、姿勢などは問いません。いつでもどこでもOKです。
  • 次に、肛門から膣の間をゆっくり締め、3秒間ほどそのまま静止します。
    その後、ゆっくりと緩めます。これを2~3回くり返して1セットとします。
  • 最初は1セット5分から始めて、10分~20分と徐々に時間を延ばしていきましょう。
    通勤中、入浴中、仕事中などに手軽に行うことができます。

3.ストレスを発散する

強い不安や心配事などで心理的ストレスが高まると、自律神経が乱れて膀胱や尿道をうまく制御できなくなります。

就寝中は、自律神経の働きで膀胱が緩み、昼間の1.5倍も尿を溜められるのですが、緊張を感じていると膀胱がうまく膨らみません。

ストレス発散の手段は人によって様々ですが、自分なりのリラクゼーション法を確立しておくことが大切です。

4.睡眠障害を改善する

トイレの夢を見ておねしょをしてしまった経験はありませんか。
それは睡眠が浅い証拠です。脳波が覚醒時に近いような浅い睡眠では、就寝中の排尿量をコントロールする抗利尿ホルモンが十分に分泌されません。

抗利尿ホルモンはぐっすりと眠ることでたくさん分泌されますので、睡眠の質を改善しましょう。具体的な方法は下記の通りです。

  • 決まった時間に就寝、起床し、朝日を浴びる
  • 夕飯は寝る3時間前、入浴は寝る1~2時間前に済ませる
  • 寝る1時間前から照明を暗くし、リラックスタイムを設ける
  • スマホやパソコンを寝る前に使用しない
  • 寝る前は必ずトイレに行く
  • 下半身を冷やさない

 

5.便秘を解消する

腸と膀胱は隣接しているため、便秘で腸が膨らむと膀胱も圧迫されます。圧迫されて変形した膀胱ではたくさんの尿を溜められません。食物繊維を摂る、水分を摂取するなどして、便秘は解消しておきましょう。

6.漢方薬の服用

八味地黄丸(はちみじおうがん)や葛根湯(かっこんとう)など、夜尿症に効くとされる漢方薬はドラッグストアなどでも購入できます。
加齢にともなう泌尿器の衰えなどにも効果があるとされていますが、漢方薬にも副作用はありますので、医師の指導の元に服用するのが望ましいでしょう。

7.尿取りパッドなどを活用する

おねしょをしてしまっても良いように、尿取りパッドや大人用オムツをはくのも手です。安心感から逆にぐっすりと眠れる場合もあります。

8.病気による夜尿症の場合

基礎疾患のせいで夜尿症が引き起こされている場合は、病院での治療を受けることが何よりも大切です。命に関わる重大な病気が隠されているケースもありますので、早急に病院を受診してください。

何科を受診すればいいか分からない時は、総合病院に電話で問い合わせればOKです。適切な科を教えてもらえます。

  • オムツや防水シーツの活用

大人のおねしょは恥ずかしいことではありません。気軽にオムツや防水シーツを使用して、必要以上に気に病まないようにしましょう。
ストレスをため込まず、笑顔で規則正しい生活を心がけることが一番大切です。