おねしょをするのは子供だけだと思っていませんか?
実は大人のおねしょも決して珍しい事ではありません。
思春期以降のおねしょに悩む日本人は全人口の約0.5%、欧米では約3%にものぼると言われています。

今回は、大人のおねしょ(夜尿症)の原因、対策、予防法をまとめました。

夜尿症の種類

大人の夜尿症は「一次性」と「二次性」の2種類に分類されます。

  • 一次性の夜尿症(全体の80~90%)

子供のおねしょは小学6年生ごろまでに自然消失していきます。しかし、
幼少期のおねしょが治らず、大人になってもずっと続いていくケースが一次性の夜尿症です。

  • 二次性の夜尿症(全体の10%)

一度はなくなった夜尿症が、半年以上の期間を置いて再発したケースです。
子供の頃のおねしょは成長とともに消失したはずなのに、
大人になってから突然おねしょを再発するようになった、などの場合がこれに当てはまります。

大人の夜尿症は大多数が一次性で、患者全体の80~90%を占めています。
また、子供のおねしょとは原因も対処法も大きく異なるため、症状が酷いようなら
泌尿器科の受診をおすすめします。

大人の夜尿症の原因3つ

大人の夜尿症の原因は、大きく分けて3つあります。

  • ストレスや疲労の蓄積によるもの

夜尿症の大きな原因のひとつがストレスや過労です。
仕事や人間関係など、様々なストレスのせいで自律神経やホルモンバランスが乱れると、
排尿を抑制する「抗利尿ホルモン」の分泌量が不安定になり、夜間の頻尿を引き起こします。

  • 臓器の異常によるもの

内臓や身体機能に何らかの異常がある場合も夜尿症の原因となります。

たとえば、膀胱そのものに異常が起きている、尿道を締めている筋肉の衰えや緩み、
腎臓や膀胱まわりの骨盤の異常など、原因は多岐にわたります。

このような基礎疾患(何らかの症状の原因になってる病気の事)が存在する場合は、
夜尿症だけでなく、日常的に頻尿、尿漏れ、残尿感などの排尿トラブルを抱えているケースが多く見られます。

  • 出産後や育児中である

妊娠・出産を経験した女性は、出産の際に骨盤底筋などを損傷し、うまく尿道を締められなくなっている可能性があります。

また、赤ちゃんのお世話や育児などで睡眠不足になったり、精神的なストレスが溜まっている場合は、
ストレスや疲労の蓄積による夜尿症を発症することもあります。

大人のおねしょの予防法、対処法

軽い夜尿症であれば、セルフケアのみでも症状を緩和することが可能です。

  • 夜間の水分摂取は控える

夕食後~就寝前の水分摂取はできるだけ控えるようにしましょう。特に就寝2時間前くらいからは
飲み物を摂りすぎないようにしましょう。

  • 冷え性を改善する

冷えも夜尿症の原因となります。できるだけ身体を冷やさないよう、就寝する部屋や布団は暖かくしておきましょう。

  • 基礎疾患を治す

基礎疾患が原因となっている場合は病院を受診し、医師の指導のもと適切な治療を受けましょう。

  • ストレスや疲労を溜めない

ストレスを溜めない生活を心掛けましょう。規則正しい毎日を送り、睡眠時間はしっかりとりましょう。
自律神経やホルモンバランスを崩さないよう、適度に休息をとりながら生活していく事が大切です。

  • お風呂で排尿しない

お風呂場で排尿するクセをつけてはいけません。
お風呂の温かさと布団のぬくもりが似ているため、布団の中での排尿を誘発してしまうことがあります。

  • アルコールを控える

アルコールの飲みすぎは禁物です。アルコールには利尿作用がある上に、
泥酔して寝てしまうと睡眠中の尿意に気づかないことがあります。

  • あまり気にしない

おねしょを気に病み過ぎてはいけません。おねしょについて悩み続けること自体がストレスとなり、
逆に症状を悪化させている場合もあります。

専門医に相談しただけでも安心感から症状が緩和されることがありますので、
恥ずかしくても一度泌尿器科を受診してみることをおすすめします。

病院を受診しよう

生活の質が低下するほど重症な場合は、ためらわずに病院を受診しましょう。
泌尿器科のなかには夜尿症を専門とする「夜尿外来」も存在します。

大人の夜尿症の原因は多岐にわたるため、安易な自己判断は禁物です。
脳血管障害や腎臓・膀胱の病気、脊椎の病気などが原因であった場合は、早期発見と早期治療が大切です。

夜尿症の治療には薬物治療やアラーム療法などが用いられますが、
心因性のものならばカウンセリングを受けることによって症状を緩和することもできます。
重大な病気が隠れている場合もありますので、恥ずかしがらずに医師に相談し、原因を突き止めましょう。