頻尿や残尿感に悩む女性は20代から急増します。
今回は、20代~30代女性の排尿トラブルを引き起こすおもな原因と、その治療法や予防法についてまとめました。
急性膀胱炎
大腸菌などの細菌が尿道口から侵入し、膀胱で炎症を起こす細菌感染症です。
10~30代の女性の排尿トラブルの原因として、もっとも高い割合を占めています。
・症状
おもな症状は頻尿、残尿感、排尿痛、血尿、尿混濁などです。
・治療と予防法
まずは泌尿器科を受診しましょう。膀胱炎以外の病気である可能性もあるため、安易な自己判断は禁物です。
ほとんどの膀胱炎は細菌感染症なので、抗菌薬を服用することで完治させることができます。
膀胱炎の再発予防としてもっとも効果的なのは尿を我慢しないことです。
尿量を増やすために一日1~2リットルほどの水分を摂取し、膀胱内の細菌が繁殖する前に流し出しましょう。
骨盤性器脱
骨盤内にあるはずの膀胱、子宮、膣、直腸などが本来の位置から垂れ下がってしまい、
膣から脱出してしまう病気です。
骨盤の底に位置する骨盤底筋は、ハンモックのように内臓の重みを支えています。
しかし妊娠、出産によって産道となった骨盤底筋周辺が傷ついたり、
閉経によって女性ホルモンバランスが乱れたりすると、骨盤底筋が衰えて内臓を支えられなくなり、
骨盤臓器脱が発生すると考えられています。
また、肥満や便秘なども骨盤底筋に腹圧負荷をかけることから、発症リスクを高める要因とされます。
・症状
内臓の下垂により尿道が圧迫されるため、尿が出にくい、頻尿、尿漏れ、残尿感など、様々な排尿トラブルがあらわれます。
その他、便秘や下腹部の違和感、、下腹部痛なども見られます。
・予防、治療法
軽度の場合は骨盤底筋体操による筋力強化で症状の改善を目指します。
しかし、重症の場合は手術療法で根本的な治療をするしかありません。
何らかの事情で手術ができない場合は、一時的な治療法としてリング式ペッサリーなどの着用も行います。
過活動膀胱
何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働いてしまう病気です。
骨盤底筋の衰え、神経の伝達障害など、さまざまな原因が考えられていますが、
はっきりとしてた原因を特定できないケースが多く、いくつかの要因が複雑に絡み合っているものと考えられています。
・症状
おもな症状は尿意切迫感(我慢できないほどの尿意を急もよおす)
頻尿、夜間頻尿、尿漏れ、軽度の失禁などです。
・治療法、予防法
症状を軽減させるための薬物療法が一般的です。
また、膀胱訓練や骨盤底筋体操などでの行動療法によって症状を改善できる可能性があります。
ストレスによる頻尿(心因性頻尿)
心因性頻尿とは、緊張や不安、ストレスなどの心理的な要因が引き起こす排尿トラブルです。
・症状
おもな症状は尿氏切迫感、切迫性尿失禁、頻尿、残尿感などですが、
睡眠中やリラックスしている時には症状が見られません。
また、ストレスのかかる特定の場面で起こりやすいというのも特徴です。
・治療、予防法
肉体的な異常はないため、カウセリングを受けたり、不安を抑える薬を飲んだりします。
また、ストレスや疲労の蓄積、睡眠不足などによって自律神経やホルモンバランスが乱れると、
尿を排出する機能にも悪影響を及ぼすので、規則正しい生活を送ることも重要です。
冷え症による頻尿
冷え性により血液の循環が悪くなると、膀胱やその周辺に血液が行き渡らなくなって
膀胱が収縮してしてしまい、尿を十分に溜められなくなることがあります。。
また、冷えで汗をかく量が少なくなると体内に水分が溜まり、尿量が増加します。
冷えによる頻尿を解消するには、体内と体外の両方から体を温めることが大切です。
カフェインやアルコールの過剰摂取
コーヒーや緑茶、紅茶など、利尿作用を持つカフェインが含まれている飲み物をたくさん摂取すると
頻尿になることがあります。
アルコールの過剰摂取も控えましょう。アルコールは抗利尿ホルモン(尿が必要以上に作られないように調節するホルモン)の分泌を阻害するため
頻尿となります。また、アルコールを分解し排出するために大量の水分が必要とされるため、多飲多尿をまねくことでも頻尿となります。
まとめ
排尿トラブルの原因は上記のものだけではありません。重大な病気が隠れている場合もありますので、排尿に違和感を感じたら
必ず泌尿器科や婦人科での検査を受けましょう。