出産に向けて徐々に体が変化しはじめる妊娠初期。この時期はひどい頻尿に見舞われる方も多く、
自分の排尿機能に不安を覚える方もいらっしゃいます。

今回は、妊娠初期の頻尿の原因と、その対処法についてご紹介します。

妊娠初期の頻尿の原因

多くの妊婦さんが妊娠初期の頻尿を経験しますが、
妊娠にともなう体の変化のひとつであり、ごく一般的な生理現象であるため、
特に心配する必要はありません。

妊娠初期の頻尿は、一般的に妊娠4ヶ月ごろまで続くと言われています。
個人差はありますが、子宮が大きくなって腹部の上方にあがってくる妊娠中期のころには
自然と治まるケースが多いようです。

妊娠によって頻尿となる原因は大きく分けて三つあります。

・子宮による膀胱の圧迫

妊娠すると徐々に子宮が大きくなっていきます。子宮のすぐ前に位置している膀胱は、大きくなった子宮に圧迫されて変形し、
尿を溜められる容量が少なくなって頻尿を引き起こします。

・プロゲステロンの作用による頻尿

妊娠するとプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加します。
プロゲステロンは受精卵が着床しやすい環境を作り、妊娠を継続させるために必要不可欠なホルモンです。

プロゲステロンには体内の水分を保持しようとする働きがあります。
母体の血液循環量を増やし、胎児に酸素や栄養を送るためです。
しかしプロゲステロンには尿道括約筋などを緩ませて利尿を活発にする作用もあります。
その結果、体内に溜め込んだ水分を排出しようとして頻尿を引き起こすのです。

・腎臓の機能が活発にする

妊娠中は血流量が増加するため、血液をろ過する腎臓の機能が活発になります。
腎臓で処理される血液量が増えれば、不要物として排出される尿量も多くなるため頻尿となります。

妊娠初期の膀胱炎に注意しましょう

妊娠中は女性ホルモンや自律神経のバランスが乱れて免疫力が低下し、
膀胱炎などの感染症にかかりやすい状態となっています。
残尿感、排尿痛、頻尿、血尿、濁った尿などの症状があらわれたら、早急に医師に相談しましょう。

妊娠初期の頻尿の対処法

・我慢せずにトイレに行きましょう

尿を我慢することによって細菌が繁殖し、膀胱炎を引き起こす可能性があります。
排出される尿が少量でも、こまめにトイレに行くことが大切です。

残尿感、排尿痛、血尿など、膀胱炎のような症状を感じたらすぐにかかりつけの産婦人科医を受診しましょう。
妊娠中に服用しても問題のない薬を処方してくれます。
自己判断で膀胱炎の市販薬を使用してはいけません。必ず医師から処方されたものを服用して下さい。

・カフェインの摂取を控える

カフェインに含まれる利尿作用は頻尿を悪化させます。また、カフェインの過剰摂取は胎児に悪影響を
及ぼすこともあります。妊娠中はコーヒー、緑茶、紅茶など、カフェインの入った飲料を控えるようにしましょう。
同時にこまめな水分補給も大切です。妊娠中はお水や麦茶などでの水分摂取をお勧めします。

・就寝前の飲食を控える

就寝前の飲食は夜間頻尿を引き起こす恐れがあります。飲み物だけでなく、水分を多く含む果物や野菜の摂取も控えましょう。

・冷えに注意する

冷え症で血流が悪くなると膀胱が収縮し、頻尿の症状を悪化させます。
冬はもちろん、夏場の冷房が効きすぎて寒いときは、ひざ掛けや腹巻などで冷え対策を行いましょう。

また、体を締めつけるタイトな服装は血流を悪化させます。マタニティウェアなどのゆったりとした服を着用しましょう。

・ストレスを溜めないこと

ストレス、不安、緊張感なども頻尿を悪化させる原因となります。
あまりトイレに行ける環境ではないという方は、市販の尿漏れパッドを利用してみましょう。
尿意を感じてもトイレに駆け込まなくて大丈夫という安心感は、ストレスを軽減してくれます。

・リラックスしましょう

頻尿について悩み続けることが大きなストレスとなり、逆に症状を悪化させる場合もあります。
妊娠初期の頻尿は自然な生理現象です。あまり気にせず、自分のできる範囲で対策をしながら、リラックスした毎日を過ごしましょう。