残尿感に悩む女性は年々増えています。女性の残尿感対策には、女性外来や女性専門クリニックというものが存在します。

泌尿器科というと男性対象のイメージが強く、泌尿器科にかかる患者の7割が男性ともいわれています。

女性専門の泌尿器科というのは必要不可欠なのですが、あまりメジャーにはなっていません。男性と女性では泌尿器科の構造が全く違っています。だから、残尿感に悩んでいる女性に女性外来や女性専門クリニックは必要不可欠なのです。

一般的な泌尿器科は、男性中心のものと考えられているので、女性に関係のない前立腺肥大症などに興味を持つ医師が多いです。女性の子宮には、それほど真剣に取り組まない傾向があります。

産婦人科でもなんか違う

泌尿器科でなく、産婦人科で診てもらうこともできますが、産婦人科では出産することを目的としているので、泌尿器の構造とか、尿の排出にはそれほど詳しくありません。

その点で産婦人科にかかるよりも、女性専門の泌尿器科にかかったほうが好ましいです。

女性の残尿感の中心は骨盤底にある

女性の残尿感の中核的な存在が骨盤底です。女性の泌尿器科は骨盤底を中心に研究がなされてると言ってもいいでしょう。

男性と大きく構造が違う点です。尿失禁や子宮脱などの問題は、センシティブなので、病院に受診しにくい性質でもありました。それが今、女性の生活の質の向上のために注目され始めできたのです。

女性の泌尿器科の患者の数は、50歳代以上になると急激に増えます。女性ホルモンの分泌が低下し、骨盤底が悪くなってしまうことが原因だといわれています。

女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減ることにより、骨盤底の機能が低下します。その結果、排尿もスムーズにできなくなるといった具合です。最も多いのが、おなかに力が入った時の腹圧性尿失禁です。

エストロゲンの分泌量の低下に問題があるからといって、エストロゲンの補充で疾患が改善するとは限りません。残尿感や尿失禁に有効といったデータはなく、むしろ、ホルモン補充療法は他の疾患の原因ともなるので、慎重に行うべきものです。

女性医師のほうが安心?

女性の泌尿器科の問題については、男性医師よりも女性医師の方は好ましい、と言われています。女性器も男性に見られるのは嫌ですよね。

そのため、女性医師でなければ対応できないという問題があります。しかし、それではまだまだ時代遅れで逆に偏見を招いてしまいます。

男性でも優秀な人は優秀で、スペシャリストとしては男性でも女性でも関係はないとも考えられます。それでも、女性の立場からすると、「男性に診られるだけは嫌」という人も多く、女性医師でなければ気楽に病院にかかれないというのも真実ではないでしょうか。

女性の泌尿器科でみる病

女性の泌尿器科では、どのような病を見るのでしょうか。その一部を紹介します。

尿失禁

腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁など一般的に残尿感といわれるものです。

性器脱

尿道留・膀胱留・子宮脱・直腸留などです。

子宮がん・直腸がんなどの後遺症による排尿障害

手術の後遺症で排尿障害になることもあります。

膀胱の粘膜が弱ったことによる疾患

間質性膀胱炎は原因が不明と言われています。

脳や神経の障害による疾患

脳神経が障害されることによって排尿に異常をきたすことがあります。

その他の泌尿器科系の疾患

性病などが原因となっていることもあります。その他にも、夜尿症などをみる場合があります。

残尿感に悩む女性の方は年々増えていますが、治療する医師や、専門家がついてこられない状況でもあります。その残尿感の中心となっているのは骨盤底や女性ホルモンです。

年齢とともに骨盤底の状態が悪くなり、排尿がスムーズにできなくなる人が増えています。女性の泌尿器科という分野はまだまだ始まったばかりのレベルだと思っていいでしょう。