残尿感とは
残尿感とはその名の通り、「尿が残っている感じがする」という感覚の総称です。
残尿感の代表的な症状といえば、
・排尿後も何となくスッキリとしない
・まだ膀胱に尿が残っているような気がする
・トイレに行って数分も経たないうちにまたおしっこに行きたくなる
などが有名ですが、実は残尿感というのは
実際に尿が残っているのか・残っていないのかという事実とは
関係なく起こってしまう症状なのです。
残尿感の主な原因
残尿感の原因は個人によっても違い、
さらに男女によっても大きく違います。
脳神経の異常が原因のものから、ストレス、前立腺異常やパーキンソン病など、
一時的ものから難病まで原因は多岐にわたります。
ですから勝手な自己判断をしてはいけません。ひょっとした重大な病気のサインかもしれませんので、
必ず病院を受診して、医師の診察を受けましょう。
さまざまな病気が原因となる残尿感ですが、
そんな中でも「膀胱炎」が起因となる残尿感がもっとも多いと言われています。
今回は、男女ともにかかりやすく、特に女性の4人に1人は発症しているという「膀胱炎」による
残尿感を詳しく解説したいと思います。
膀胱炎とは?
排尿後、もしくは排尿中の後半で、ヒリつくような痛みを感じたことはありませんか。
または残尿感があったり、トイレが近くなったり、血尿が出たり、焼けつくような強い痛みを
感じたことはありませんか。
これらはすべて膀胱炎の代表的な症状のひとつです。
膀胱炎には急性膀胱炎、慢性膀胱炎、出血性膀胱炎など、
いくつかの種類がありますが、どれも症状は似通っています。
初期の急性膀胱炎の場合は自然治癒することもありますが、
重度のものは放っておくと腎盂腎炎にまで発展し、
命に関わる場合もありますので、放置してはいけません。
膀胱炎は、細菌が尿道から膀胱に入って炎症を起こす病気です。
大腸に駐在する大腸菌や腸球菌、皮膚や粘膜に駐在するブドウ球菌、
化膿や扁桃炎などを引き起こす連鎖球菌などが尿道口に侵入し
、尿道を通って膀胱に感染するのです。
まれに性感染症であるクラミジアが感染することもあります。
普段なら膀胱に細菌が侵入しても、排尿によって菌を
流し出してしまったり、膀胱感染防御機構の洗浄作用によって
無害にされてしまいます。
ところが、疲労の蓄積、ストレス、体調不良によっての免疫力・抵抗力が
落ちている状態だと、菌が膀胱内で繁殖し、炎症を起こしてしまうのです。
尿を我慢する、冷え性、1日の総尿量が少ない、なども免疫力低下の
一因です。
特に女性の場合は肛門・膣と尿道口が近いため、
菌が外陰唇などから尿道内に入りやすく、急性膀胱炎になりやすいのです。
ちなみに男性が膀胱炎になった場合は、細菌感染症ではなく
別の重大な病気が原因であることが多いです。
予防法と治療法
・急性膀胱炎の場合
もっとも効果的な治療は、病院で処方された抗生物質をしっかり服用することです。
自己判断で治療を中止してはいけません。
予防法は、普段よりも水を多めに飲んで、こまめにトイレに行くこと。
尿が溜まっている時間を減らせば、膀胱内で細菌が繁殖するのを防ぐことができます。
また、生活習慣を見直すことも大切です。
膀胱炎を何度も繰り返してしまう人がいますが、まずは病院でしっかりと治療し、
生活習慣を見直すことで、再発を予防できます。
トイレでの拭き方を変える、性交渉の後はすぐに洗って清潔を保つ、
下腹部を温める、睡眠を十分にとるなど、免疫力を低下させない
生活を心がけましょう。
・慢性膀胱炎の場合
慢性膀胱炎は、一時的な細菌感染症ではありません。
前立腺肥大症や前立腺がん、膀胱結石、膀胱ガン、糖尿病などの
重大な病気が原因となっている場合が多いので、早急に病院を受診しましょう。
・間質性膀胱炎の場合
こちらは原因がまだ解明されていません。
慢性化した膀胱炎の治療を受けても治らないときは、間質性膀胱炎が疑われます。
日本間質性膀胱炎研究会が公開している「間質性膀胱炎の治療に応じる医師」を
探して、病院を受診してください。
まとめ
たかが残尿感とあなどってはいけません。残尿感は体からの悲鳴であり、SOSのサインなのです。
勝手な自己判断に頼らず、気になる場合は早急に内科、泌尿器科、婦人科を受診し、
原因となっている病気の早期発見につとめることが大切です。