排尿トラブルは大人だけの病気ではありません。
実は子供も膀胱炎などの尿路感染症になりやすく、
2歳ごろまでは男女ともによく見られる病気なのです。
特に赤ちゃんや幼児の場合は、発熱以外の異変は見られたかったのに
膀胱炎を発症していた、というケースが多いため、
日ごろから周囲の大人が注意深く観察し、異変に気付いてあげることが
大切です。
今回は、赤ちゃんから幼児までが発症しやすい排尿トラブルの
症状、治療法、予防法などをまとめてみました。
症状
1日の正常な排尿回数は、子供の年齢によって大きく変化します。
- 新生児は一日20回くらい
- 1~2歳は8~12回
- 2~3歳は6~10回
- 4歳以上は4~8回
幼児や赤ちゃんは大人よりも膀胱が小さく、まだまだ成長段階のため、
膀胱に尿をためて排出するという機能全般が成熟していません。
特に赤ちゃんは、膀胱内に一定量の尿が溜まると反射的に尿意をもよおし、
我慢することなくすべてを排出してしまいます。
膀胱に尿を溜め、かつに自分のタイミングで排尿できるように
なるのは2~3歳ごろからです。その後は成長するにつれて、
大人と同じ1日に4~8回くらいの排尿ペースになります。
おねしょ(夜尿症)やお漏らしも同じ理由です。
膀胱が小さいという理由のほかにも、子供の場合は
尿量や尿意を調節している「抗利尿ホルモン」が夜間に
あまり分泌されないという特徴もあるため、おねしょをするのは当たり前なのです。
5歳ごろまではおねしょやお漏らしが続いても
特に問題はありません。だいたい小学5年生あたりでこの症状は
自然に消滅していきます。
ただし、本人が非常に気にしている場合や、日常生活に
支障をきたしているほどの頻尿であれば、治療を受けることをお勧めします。
原因
子供が残尿感や頻尿を感じる理由は、心因性のものと病原性のものという
大きな2つのカテゴリに分かれています。
- 心因性
子供はストレスに敏感です。排尿トラブルを引き起こした原因が
周囲の誰かの何気ないひと言だった、という事も考えられます。
もともと神経質な傾向を持つ子供が、精神的に緊張したり、
不安を募らせたりすることによって、頻尿や残尿感を感じることが多いようです。
心因性頻尿には排尿痛や発熱はなく、いつも通りに過ごしており、
尿検査をしても細菌・白血球が検出されないのが特徴です。
- 膀胱炎などの尿路感染症
尿路とは、尿が作られてから体外に排出されるまでの通路のことで、
具体的には尿道から腎臓までの臓器を指しています。
尿路感染症とは、尿道口から侵入した細菌が尿路のどこかで炎症を起こし、
残尿感・頻尿・尿漏れ・血尿や白濁尿、排尿痛などを
引き起こす病気です。
炎症を起こした場所によって尿道炎・膀胱炎・腎盂腎炎などと呼び名が代わりますが、
赤ちゃんの場合、どこで炎症を起こしているかを判別しにくいため、
膀胱炎や腎盂腎炎などもひとまとめに「尿路感染症」と呼ばれる事が多いです。
尿路感染症の症状
子供の尿路感染症における特徴的な症状は、
38.5度以上の高熱です。
そのほかには残尿感、頻尿、尿漏れ、排尿痛などもあらわれます。
ただし、生後6ヶ月以内の赤ちゃんの場合、尿路感染症を発病しても
発熱のみで、その他の症状は一切出ないことも珍しくありません。
授乳しても飲みが悪い・いつもより不機嫌だという反応のみの
ケースもあります。
周囲の大人たちが赤ちゃんのささいな異変に気づいてあげる
ことが大事です。
治療法
尿路感染症の治療には抗生物質が使用されます。
投薬を続けることによって、軽い症状なら数日で完治させることが可能です。
しかし、重症化すれば入院が必要になることもあります。
膀胱炎などを放置すると、腎盂腎炎まで発症し
命に関わることもありますので、早急に泌尿器科を受診しましょう。
膀胱炎や尿路感染症以外の原因
膀胱炎や尿路感染症以外にも、残尿感や頻尿などを引き起こす
病気がたくさんあります。
子供の場合は
- 先天性の膀胱尿管逆流症
- 水腎症
- 過活動膀胱
- 尿崩症
- 小児糖尿病
- 膀胱がん
などの原因も考えられるため、あまりにも症状が長期間続
くようなら必ず泌尿器科を受診しましょう。