排尿のメカニズム

膀胱に溜められた尿は、尿道を通じて体外に出されます。排尿は一日に何度も行う大事な作業です。単純な作業ようですが、この作業は自律神経によりコントロールされています。

畜尿時には交感神経が膀胱を膨らませます。前立腺や尿道括約筋が収縮し尿が外に漏れないようにします。排尿時になると副交感神経が膀胱を収縮させ、前立腺や尿道括約筋が緩み、尿が尿道を通じて体外に出ます。

これらのメカニズムは非常に精巧なものですが、さまざまな病気によりバランスが崩れます。代表的な病気には、女性なら膀胱炎、男性なら前立腺肥大症などがあります。これらの病気を患うと、排尿したにもかかわらず膀胱にまだ尿が残っているような感じがします。そこで実際に膀胱にはどれぐらいの尿が残っているのかを知ることが大事になります。排尿に関係するこれらの病気の治療のため泌尿器科を受診すると、残尿測定は欠かせない検査項目となるのです。

尿流測定検査

便器に尿の流れ出る量を測定する器具が組み込まれています。トイレに入り尿を出す準備ができたら「測定開始」のボタンを押します。あとは普通に排尿し、完全に排尿が終わったら「測定終了」のボタンを押します。そうすると自動的のグラフが出てきます。このグラフは横軸が時間で、縦軸が排尿の勢いを示します。排尿にどれぐらいの時間がかかったか、すぐに出たか、勢いよく出たか、出終わるまで時間がかかっているか、尿はどれだけ出たか、などといったことがこのグラフから読み取れます。便器を洗浄し、このグラフを持って受診することになります。
測定の時は普通の排尿の要領でリラックスして行います。残尿がなるべく少なくなるように最後は「いきむ」(下腹部に力を入れ尿を出しきる)ことを忘れないでください。さらにすぐに出る状態になってから測定開始のボタンを押すことも大事です。言うまでもありませんが、膀胱に十分の尿が溜まっていることも大事です。直前に水分を十分にとって尿を蓄えておくことです。排尿に問題の無い場合は、出始めてから勢いよくグラフが立ち上がり、ピークを過ぎると一気に横軸まで達するというきれいなグラフになります。

残尿測定検査

通常は前述の尿流測定検査の直後に受けます。尿流測定検査用のトイレを出て看護師の方にお願いします。エコー(超音波診断装置)で簡単にできる検査なので、泌尿器科の看護師の方なら誰でも操作はできます。男性の場合で言うとベッドに横になり、下半身を露出させます。ペニスの直上の陰毛の下辺りに膀胱があります。従ってこの部分が出ていたら十分で、ペニスを全て出す必要はありません。準備ができたら看護師の方がエコーを当てて残尿を測定します。
なお場合によっては尿道を経由して細い管を挿入し、この管から出る尿の量を実測するという方法もあります。
残尿測定を行うことで、膀胱の機能や、畜尿・排尿の状態を評価することができます。検査自体は数分で終わります。測定した看護師の方が残尿の量が何mlかを教えてくれます。検査時は器具が肌に当たる時に冷たさを感じるだけで、痛み等はありません。

残尿測定のまとめ

測定技術の進化などのより、残尿測定は非常に短時間でしかも痛みも無く行うことができます。一回か二回やれば要領がつかめる簡単な検査です。これらの検査によって排尿に問題がある場合の原因を探り、そして治療に進んでいくことになります。また排尿障害を起こす病気を患い、治療した後も定期検診で残尿測定が行われます。排尿のトラブルがあれば必ず行う大事な検査の一つと考えられます。

残尿感に悩まされた時は泌尿器科を受診し、この検査を受けてみましょう。そうすれば何が問題で、どういった治療があるのかという先が見えてくることになります。