日本で市販されている頻尿対策サプリメントの多くは、
「ノコギリヤシ」
「ペポカボチャ種子エキス」
「イソサミジン」
の3つを主成分としています。
この3つの成分にはどのような効果・効能があり、どのような違いがあるのでしょうか。
臨床実験などによる科学的エビデンス(証拠)に基づいて、それぞれの成分の特徴をご紹介します。
ノコギリヤシ
ノコギリヤシとは
ノコギリヤシは、北米から南米に自生しているヤシ科シュロ属の植物です。
葉がノコギリのような形をしていることから、「ソウ・パルメット(ノコギリヤシ)」と名付けられました。
近年の研究によって、ノコギリヤシの果実エキスは前立腺肥大症を改善するほか、
薄毛・抜け毛予防にも効果を発揮するという事実が証明され、
ヨーロッパでは医薬品として正式に認可されています。
天然成分なので副作用も少なく、泌尿器科をはじめとする多くの病院で使用されています。
効果、効能、成分
・前立腺肥大症の改善
前立腺は男性だけが持つクルミ大の生殖器です。この前立腺が加齢などの理由で
肥大化すると、尿道が圧迫され、頻尿、残尿感、尿意切迫感などの
症状を引き起こします。
この病気の原因はまだ解明されていませんが、おもな要因のひとつとして
加齢によるホルモンバランスの乱れ、特にジヒドロテストステロンという男性ホルモンの
過剰作用が指摘されています。
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンのひとつであるテストステロンが
5α-リダクターゼと呼ばれる酵素によって変化した物質なのですが、
ノコギリヤシの果実には、5α-リダクターゼの働きを抑える効果が確認されています。
つまりノコギリヤシは、前立腺肥大症の原因となるジヒドロテストステロンの発生を
抑えることで前立腺を縮小させ、排尿トラブルを緩和するのです。
前立腺炎の改善
前立腺炎は大腸菌やクラミジアによる感染症で、
残尿感、頻尿、尿閉、排尿痛などの症状のほか、射精痛や下腹部の鈍痛を生じることもあります。
最近の臨床実験では、慢性前立腺炎の患者に対してノコギリヤシを6ヶ月間投与したところ、
下部尿路症状や勃起障害などを改善する効果が確認されました。
女性の更年期障害にも
ノコギリヤシは男性向けの頻尿サプリメントとして有名ですが、
女性の更年期障害においてもホルモンバランスの乱れを
整える作用があると言われています。
そのため、女性の排尿トラブルにも効果が期待されていますが、
妊娠中・授乳中の女性が摂取することは禁じられています。
また、副作用としてまれに下痢の症状が出ることもあります。
ペポカポチャ種子エキス
ペポカボチャとは
ヨーロッパではカボチャの種をハーブやシリアルなどの食品として
利用していますが、そのカボチャ種子から抽出されたオイルが「ペポカボチャ種子エキス」です。
ドイツでは医薬品として正式に認可され、泌尿器系疾患の治療薬として
一般的に利用されています。
効果、効能、成分
ペポカボチャの種には「リグナン」という成分が含まれていますが、
この成分が排尿トラブルを改善するとドイツの研究で報告されています。
この「リグナン(不溶性食物繊維)」や、同じくペポカボチャに含まれる
「スチグマステロール(ファイトケミカルの一種)」は、人間の体内で
女性ホルモンや男性ホルモンと同じような働きをし、
尿道の粘膜を厚くしたり、過活動膀胱や尿失禁に効果を示すとされています。
日本でもペポカボチャ種子エキスの効果を調べる臨床研究が行われています。
52才から86才の女性にペポカボチャを6週間摂取させたところ、
摂取し始めてから1週間ほどで夜間頻尿が著しく改善しました。
さらに前立腺肥大症を改善する成分や、ククルビタシンという
尿道括約筋を活性化する成分なども見つかっており、
男女を問わず使用できる頻尿対策サプリメントとして注目を浴びています。
天然成分で副作用も少なく、安全性の高い健康食品です。
イソサミジン
イソサミジンとは
イソサミジンは、九州南部から沖縄にかけて自生する「ボタンボウフウ(セリ科の植物)」に
含まれている健康成分です。
ボタンボウフウにはビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどが
豊富に含まれ、別名「長寿草」とも呼ばれるほど様々な健康効果を持つと
考えられてきました。
鹿児島や沖縄では、長寿草を天ぷらや和え物などにして食べるのが
一般的でしたが、近年の研究によって泌尿器トラブルの改善や
血流促進などの作用があると報告されるようになりました。
効果、効能、成分
・頻尿の改善
イソサミジンには、膀胱の過剰な収縮をやわらげる効果があるため、
過活動膀胱による頻尿を改善すると考えられています。
また、前立腺の筋肉も緩める効果があり、前立腺肥大症による
尿漏れや夜間頻尿などの症状をやわらげる効果も期待されています。