残尿感や頻尿、血尿などの排尿トラブルを甘く見てはいけません。
排尿トラブルの中には重篤な病気が隠されている場合もあり、
すぐに適切な治療を受けなければ命に関わるケースもあるからです。

では、排尿トラブルで病院を受診したとき、
どのような検査や治療が行われるのでしょうか。

今回は、泌尿器科や婦人科などで行われている
排尿困難に関しての検査や治療法などをまとめました。

排尿トラブルの主な検査方法について

排尿障害全般に対して必須とされる検査は、「検尿」「採血」「残尿測定」の3つです。

検尿とは

検尿(尿検査)とは、尿中の成分を調べることにより、腎臓や尿路などに
どのような疾患があるかを推測するための検査です。

おもに尿中に含まれるタンパク、糖、潜血、電解質、微量のビタミン、ホルモンなどの
数値を計測することで、腎臓や尿路のみならず、心臓や肝臓の状態も知ることができます。

排尿トラブルの診断においてきわめて重要な検査であり、
泌尿器科以外でも有益な検査方法としてよく用いられています。

例えば尿の中に膿や赤血球、白血球などの混濁があるかどうかで、
膀胱炎や尿路感染症の可能性が高まります。

残尿検査

残尿検査とは、排尿直後の膀胱内にどれくらいの尿が残っているかを調べる検査です。
残尿の量を調べることによって、疾患の特定はもちろん、前立腺肥大、神経因性膀胱なども発見することができます。

現在では超音波による残尿測定が一般的ですが、カテーテルによる導尿を行う場合もあります。

採血

血液検査を行うことで、全身の健康状態を把握できます。
特に泌尿器科でチェックされているのは腎臓機能の異常の有無、体内の炎症の有無などです。

問診

自分の排尿データをメモしておく事で、スムーズかつ的確に
主治医に症状を伝えることができます。

尿流動態測定

便器に取り付けられた尿流計に向かって排尿するだけの検査で(場合によってはカテーテルや
生理食塩水の挿入もあります)、前立腺肥大症、神経因性膀胱などの診断に用いられます。

排尿量を時間ごとに測定してグラフ化し、排尿障害の程度を調べます。

パッドテスト

下着にパッドをあて、尿漏れの量や失禁の状態を診断の参考にするテストです。

超音波検査(腹部エコー検査)

超音波によって膀胱や腎臓の形、状態、残尿量、がんや結石の有無などを調べます。

その他、泌尿器科で行われる検査にはたくさんの種類がありますが、
症状や重度によって検査の方法や種類は異なります。

治療法

基本的には薬物療法が用いられます。しかし病名、病状によって治療法は
大きく異なるため、一律ではありません。

  • 前立腺肥大症による排尿トラブルには、抗男性ホルモン薬やαブロッカーを投与する治療が一般的です。
    抗男性ホルモン薬は男性ホルモンの働きを抑え、前立腺の過剰な発達を阻害します。
    αブロッカーは交感神経を制御して、排尿障害の症状を抑えます。
  • 急性膀胱炎の場合は、抗生物質の服用による治療が一般的です。
    しかし最近は薬への耐性を持つ細菌が増えているため、
    抗生物質を長期的に使うのは耐性菌が発生するリスクから勧められないとも考えられています。
  • 慢性膀胱炎治療は、それを引き起こしている基礎疾患を治すことが最優先されます。
    基礎疾患の症状に応じた薬物治療や、場合によっては手術などを行う必要もあります。
  • 過活動膀胱や神経因性膀胱には様々な原因が存在するため、
    投与すべき薬や治療法も個人によって変わりますが、
    最近では抗コリン薬とβ受容体刺激薬がよく使用されています。
  • 抗コリン薬は膀胱の筋肉をほぐし、膀胱が異常収縮するのを
    抑制する効果があり、急な尿漏れ対策の薬としても用いられます。β受容体刺激薬は膀胱容量を増大させる効果があり、膀胱の筋肉をほぐし、尿道の締まりを改善して尿漏れを防ぎます。
  • 心因的な頻尿などには、行動療法や膀胱訓練、食事療法や運動療法などが有効な場合もあります。
    場合によっては精神内科でのカウンセリングを勧められるケースもあり、本人の意思と努力が
    必要不可欠です。
    骨盤底筋体操なども根気よく続け、長期的に症状を改善してきましょう。

治療中も自分の排尿状態を毎日記録することが大切です。
薬物療法と並行して生活習慣の改善に取り組み、
自力で排尿をコントロールするための努力をしましょう。