残尿とは、「排泄直後にまだ膀胱内に残っている尿のこと」です。
では、具体的にどのくらいの残尿量があると、
治療が必要な状態だと判断されるのでしょうか。
適切な残尿量
残尿量は、排泄障害かどうかを診断するための
重要なパラメータです。
健康的な成人男女の1日の排尿数、
そして1日の平均排尿回数の具体的な数値はこちらです。
- 1日の排尿回数は4~8回
- 1回の尿量は平均200ml~400ml程度。
- 1日に10回以上トイレに行くような場合は頻尿を疑ってよいでしょう
- 正常な場合、膀胱内の尿量が100~200mlほど溜まってから軽いもよおします
男女ともに一日の排尿回数が10回を超える場合、
膀胱炎や尿路感染症、腎臓系の疾患やその他の病気の可能性を考えなくてはなりません。
ただし、水分の摂りすぎ、利尿作用のある飲み物の摂取がかなり多いという要因がある
場合には、この限りではありません。
適切な残尿感は、
- 排尿直後は数ml~15mlほどあるのが普通です
(子供や老人は膀胱が小さいため、限りではありません) - 治療の対象となるのは、膀胱内に50ml以上の残尿が確認されたときです。
この場合は何らかの病気が潜んでいる恐れがあります。
また、女性の場合は4.8ml、男性の場合は30ml以下が
正常値だという研究データもあります。。
残尿量の正常値は医師や研究者によって見解が違うため、
治療がひつようかどうかの判断は医師にゆだねられている部分が大きいです。
ちなみに病気によっても残尿量のコンセンサスはそれぞれ違います。
たとえば過活動膀胱などは、残尿量が50ml以上かそれ以下かによって、
治療法の選択が異なります。
残尿量と残尿感は比例しない
残尿感とは、実際に膀胱内に尿が残っているかどうかとは
関係がありません。
原因は
- ストレスなどの心因性のもの
- 病気によるもの
の大きく二つに分類されます。
・心因性のもの
心因性頻尿は、幼児・中高年の女性に多い排尿トラブルです。
ストレス性の尿意は過敏性膀胱と言われることもあります。
心身が強い緊張状態にさらされるたびに
強い尿意をもよおしてしまい、それが悪循環となって常に排尿のことを心配するようになります。
尿意にこだわりすぎて、頻繁にトイレに行くことを周囲の人に
悟られる事に恐怖を感じたり、強迫観念にとり付かれてたりして、
行動も制限されるようにになります。
トレスがなくなった事によって、残尿感や頻尿からが
解消されたという方もたくさんいらっしゃいます。
- 病気によるもの
脳からの尿意の伝達に不具合が生じるタイプの排尿トラブルを
神経因性膀胱といいます。原因としては、
- 脳梗塞、脳出血などの脳血管障害
- パーキンソン病、多発性硬化症など神経が変性していく疾患
- 脊髄損傷
- 骨盤内の臓器(子宮や直腸など)の手術後
- 糖尿病
などが挙げられます。これらは
泌尿器科だけでなく、それぞれの専門医による治療が必要不可欠です。
男女による違い
男女ともに残尿感を引き起こしやすい病気は
膀胱炎や尿路感染症です。
しかし、女性が罹患しやすい病気や、逆に
男性特有の病気などで、男女で残尿の原因は違っています。。
- 女性の場合なら膀胱下垂、骨盤性器脱、妊娠、冷え、月経前症候群
などでも残尿感が引き起こされることがあります。 - 男性の場合、前立腺症、前立腺肥大などが原因となる
ケースが多いです。
男女どちらの場合でも、実際の残尿量と残尿感は
関係がありません。膀胱内にたまっている尿が15ml以下でも、
内臓の下垂や炎症による刺激によって、尿がたくさん残っていると錯覚するのです。
残尿量過多の危険性
残尿量が多い場合は、その原因となっている病気を
突き止め、早急に治療を始めることが大切です。
放置しておくと膀胱炎や尿路感染症になってしまうだけでなく、
腎盂腎炎にまで発展して命に関わることもあります。
自分でできる残尿・頻尿対策
検査しても特に異常がないとき、あるいは再発を繰り返してしまう時は
生活習慣を見直すことで残尿量を減らしましょう。
- 体を冷やさない
- ストレスを解消する
- カフェインやアルコールを控える
- 水分を大目に飲んで、積極的に排尿する
残尿感を解消するには、医師の診断のもとに適切な治療を行うことが一番ですが、
生活習慣を改善することで大きな成果を上げることも可能です。