「お酒を飲むと頻繁にトイレへ行きたくなる」という通説は
有名ですが、一体何が原因となって排尿トラブルを引き起こしているのでしょうか。

今回は、アルコールを摂取することで生じる残尿感や頻尿の
主な原因と対処法をご紹介します。

アルコールと頻尿・残尿の関係性

アルコールの作用と頻尿・残尿には、避けて通れないほどの
密接な関係性がありますが、大きな原因は3つに分類することができます。

1.お酒に含まれている水分の大量摂取により、

必然的に尿量が多くなる

2.アルコールが抗利尿ホルモンの働きを抑制してしまう

体内の水分濃度を一定に保つため、ヒトの身体の内部では
「抗利尿ホルモン」が常に仕事をしています。

「抗利尿ホルモン」とは、脳下垂体から分泌されているホルモンで、
その名の通り「利尿を妨げる働き」を持っています。

頻繁な尿意や利尿を妨げる事で、体液の過剰な喪失を防ぎ、脱水症状に陥らないように
調節してくれる抗利尿ホルモンは、腎臓の尿管にも影響を及ぼします。

腎臓から排出される水分量をコントロールすることにより、
体内の血液量や浸透圧を維持するという大事な役割を担っているのです。

しかし、この抗利尿ホルモンの活動がアルコールによって妨げられると、
身体か適切な水分量を保持できなくなり、どんどん排尿が促されてしまいます。

つまりアルコール度数の高いお酒を飲むと、
抗利尿ホルモンの働きをより強力に阻害してしまい、頻尿や
いくら出しても出し足りないという残尿感を引き起こしてしまうのです。

重症の場合には脱水症状にまで発展してしまうことがあるので、
アルコールを飲む際には適量を守りましょう。

3.アルコールの分解には水分が必要である

アルコールを肝臓で分解するとき、アセトアルデヒドという毒素が発生します。
アセトアルデヒドによる体調不良(いわゆる二日酔い)を抑えるためには、
多量の水が必要です。なぜなら、アセトアルデヒドを大量の水で薄めることによって、
肝臓に負担をかけずゆっくりと分解していくことができるからです。

二日酔い対策として水分を多量に摂取する方法は有名ですし、
とても良い心がけです。しかし一方で、多量に摂取した水分が頻尿・残尿感の原因になったりもします。
これ関しては、アルコールが原因ではありませんね。あくまで飲酒をしたときの
二次的な副産物のようなものです。頻尿を気にせずしっかり水分をとりましょう。

トイレに立ちたくないという理由で飲水を控えてしまう方が多いのですが、
必ずアルコールと一緒にたくさんのお水を飲むことが大切です。

ビールとワインは特に残尿感を引き起こします

お酒の中でも、ビールは特に頻尿や残尿感を強く引き起こします。
ビールの成分には沢山のカリウムが含まれているからです。

カリウムは、体内でミネラルバランスの調節をしてくれる物質です。

しかしビールによって過剰にカリウムを摂取すると、
体内は必要のない余分なカリウム・ナトリウムを
尿内に溶かして体外に排出しようとし、結果的に尿の回数が増えるのです。
これは新陳代謝が活発になるという現象のひとつでもあります。

ビールの他にも、赤ワインには110mg、白ワインには60mgほどの
カリウムが含まれていることがあります。もちろんカリウムが無いワインもありますので、
ボトルラベルの成分欄をチェックしてみましょう。

ちなみにビール含まれるカリウムは平均34mgほどです。
梅酒にも含まれている場合がありますので、アルコール度数が低いからといって
飲みすぎてしまうのは厳禁です。

前立腺炎

アルコールの多量摂取は「前立腺炎」も引き起こします。
これは男性特有の病気です。

前立腺はもともと血流がさかんな臓器。しかしアルコールの過剰摂取によって
血管が収縮し、血のめぐりが悪くなると、前立腺が鬱血し肥大化してしまいます。

前立腺は尿道を包み込んでいる器官ですので、
肥大化すれば内側にある尿道を圧迫し、残尿感や頻尿をもたらします。

さらにアルコールによって前立腺が緊張(収縮)することによっても
尿道を圧迫されるため、ひどいときには「閉尿」という
まったく尿が出ない状態になってしまうこともあります。

飲酒が原因で前立腺肥大症を悪化させてしまう男性は
非常に多いため、飲み過ぎには注意が必要です。

重度の排尿トラブルを招かないよう、お酒はつねに適量を守り、
合間に飲水を挟みながらスローペースで頂きましょう。